今日、自閉っ子の高校生Ｌくんと「買い物」学習をしました。

スーパーの中にある「たこ焼屋」で、「たい焼き（カスタード）」を買う、という計画。

Ｌくんの買い物の練習は、もう何年も継続していて、お金を払ったりおつりをもらったりはできるので、コンビニやスーパーなど黙ってお金を払うだけならＯＫです。でも、店員とのコミュニケーションは未だに大きな壁。「たい焼きカスタードのを１個ください」という何度もリハーサルした一言も、店員にわかるように伝えることが難しい。いつも、私が「ほら、なんて言うんだった？」と、私が隣でキューを出さないと、その台詞を言うべき相手に言えないのです。

とはいえ、彼ももう高３。私の身長などとっくに追い越したハンサムボーイ。まぁ、相変わらずぶつぶつ独り言を言ってるし、すれちがう人をよけて歩くことも下手なんだけど、それでも傍から見れば立派な青年。いつまでも子ども扱いせず、ここらでそろそろ、崖から子ライオンを突き落とす母ライオン役をやるべきかも・・・・と、そこまで考えたわけでもなく、ほんと唐突に思いついて

「私、ここで待ってるからさぁ、一人で並んで買っておいでよ」

と、手を振ってみました。するとＬくん素直に、（ぶつぶつ独り言を言いながら）たこ焼き屋の前に並びます。

あまりにあっさりした子ライオンの後姿（身長、でかいし）に、決めた。今日はフォローしないぞ！

順番が来て、店員さんの前に立つＬくん。キューが入らないから、黙ったまんま。

「・・・・・・」

注文もしてないのに、財布からジャラジャラと小銭を出して並べだしました。

どうする気か知らないけど、自分で切り抜けなさいよ、Ｌくん。・・・・心は非情な母ライオンと化す私、少し離れて黙って見てるだけ。

店員さん、そんなＬくんの行動を見て戸惑ったようで、やはり黙ったまんま。

「・・・・・・」

Ｌくんのフォローはしないけど、店員さんにはフォローしておかなくちゃ。私、店員さんにそっと「すみません。一人で買い物する練習してますので、よろしくお願いします」と声をかけます。

すると、その店員さん（山口智充系の渋いお兄さん）「はい」と私にうなずいてみせ、Ｌくんに向かって、こう聞きました。

「たこ焼きですか？　たい焼きですか？」

Ｌくん、すかさず

「たい焼き」

山口智充似の店員さん、さらに

「あんこと、クリーム、どちらですか？」

Ｌくん

「カスタード」

すごい。Ｌくん、店員さんとコミュニケートしてるっ。

と、その時。次の店員さんとＬくんのやりとりに、私は焦りました。

「２枚ですか？」　（山口智充、指２本立ててる）

「２枚です」

なんで２枚やねんっ！

店員さん、Ｌくんが私の分も買うと思ったのでしょうか？　でも、Ｌくん、意味わからないと全てオウム返しになっちゃうんです。

私、あわててＬくんのそばに近寄り、「２こじゃないよね？　１こだよね？」と、腕をとんとんたたいて聞いてしまいました。・・・・あぁ、母ライオン失格。

店員さん、首をかしげて「じゃあ、クリーム１枚、あんこ１枚ですか？」

このぉ、山口智充、相手見てセコイこと考えてるんじゃないだろうなぁ・・・・

Ｌくん、きっぱり「カスタード」。

店員さん、「カスタード２枚ですね｣

もう知らない。母ライオンになりきれなかった私、ままよと、成り行きに任せる。

と、そのとき、さっきＬくんが並べた小銭を見て愕然。

２４０円だったんです。（たい焼きは１枚１２０円）

そりゃぁ、山口智充似の店員さんだって、２枚だと思うはずで。。。。疑ってごめんなさい。

帰り道、Ｌくんに「たい焼き２個ほしかったの？」と聞いたら

「２こです」と答えてました。

２個欲しかったという意味なのか、２個買いましたという意味なのかは、不明。

それに何より、２つで２４０円と頭の中で計算することが彼にできるのかどうかも微妙なところなのです。（机上の計算問題なら、彼は１２０＋１２０も、１２０×２もできます。でも、「１枚１２０円のたい焼きを２枚買うから２４０円だな」と、レジに表示される前に予測するのは・・・・どうだろう？？？）

お母様に顛末を話したら「クリスマスの奇跡かしら？（笑）」とのこと。

自力でたい焼きを手に入れたＬくんの成長も嬉しいのですが、もっと嬉しかったのは、もうお気づきと思いますが、たこ焼屋さんの絶妙な応対。実はこれには伏線もあったりで、話が長くなるので続きは次回に。えっ？　学習支援シリーズの続きはどうしたって？　それも年内に必ず・・・・。

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