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UDLは具体例ではなく、試行錯誤のためのフレームワーク②
群馬大学教育学部附属小学校で、
「学びのユニバーサルデザイン 公開研修会」に呼んでいただき
研究授業の参観と、講演をさせていただきました。
たぶん、去年のように適当に「こんなところがよかったですね」と講評して、帰ってくるというのも、ありだったと思います。
でも、一生懸命準備をして授業や発表をしてくださった先生にはほんとに申し訳ないのですが、
たとえ二度と群馬に呼んでもらえなくなったとしても、
やっぱり言わないと・・・・ドキドキ。で、冒頭から
「今日ここで見た授業やさっき説明されたことがUDLだと皆さんが思ってしまったら、
群馬にはまがいもののUDLがバラ撒かれることになってしまいますので」
我ながら辛辣すぎる。失礼すぎる。。。ほんとにすみません。
でも、UDLを日本に先生方に伝えたいという私の立場からは、どうしても明確にする必要がありました。
まず、群大付属の子どもサポートセンターでの研究成果として、誰にでもわかる授業の要素が多感覚学習や学習内容の教材化、板書の構造化、オープンな学習集団・・・等々という説明があって、それはそれでもちろんかまわないですが、
それらを「私たちの解釈した学びのユニバーサルデザイン」と括られるのは疑問を感じました。
UDLは、考え方の“枠組み”です。
その根本にあるのは、「全員に最適な一つの方法はない。だから多様なオプションを提供する」です。
たとえば、拝見した算数の授業、ハキハキと発言する子どもたちでトントンと授業が進んで行きましたが、そのやり取りについていけなくて躓く子や、板書を書きとったり提示される教材の操作に戸惑う子がいたら?ということが想定されているようには見えませんでした。つまり、私の日々見ている子たちには、きっと難しいだろうな~、途中で分からなくなっちゃうだろうな~というのが率直な印象です。そんな子たちのために何かオプションが用意されていた様子はなく。(まぁ、あの子たちには要らないといわれるかもしれませんが・・・)
あるいは、もう一つの道徳の授業も、確かに様々な工夫をされた良い授業だったのは間違いないのですが、時間が経つにつれて発言者と先生のやり取りについていけなくなっている子もいれば、隅っこの方で完全に授業とは関係のない動きを見せている子(見えない自分の敵?と闘っていた模様)もいました。ただし、「どのお母さんが良いお母さん?」を“考える”プロセスから脱落しても、最終的に「全部なんだな」という“答え”だけはおさえ、それらしい言葉で感想を書いていました・・・うーん、彼は答えは分かっても、「学び」にアクセスできていなかったのでは?
それでも、附属小の子どもたちは、わからなくても、つまらないと思っても、先生の授業を台無しにするようなことはしないのですね。
でもほんとは、どんなに素晴らしい授業だったとしても、カバーできない子たちがいるはずです。
ともすれば、
「ユニバーサルに構造化しても視覚化してもわからない子のための、特別支援の場が別途必要だ」とか、
「こんなに分かりやすい私の授業をしっかり聞けない子がいるのはけしからん。まずは、授業中姿勢を正すことから指導しないと」とか
言い出す人たちが出てきかねませんが、
それではユニバーサルデザインの発想からかけ離れてしまいます。
先日訪問した滑津小の先生方は、UDLと出会って、
「これまでの自分の授業は何がいけないっていうの?!」
と、ある意味打ちのめされ、悩み、苦しみながら、UDLを具体化しようと格闘してくださっていました。
群大附属の先生方の授業は、立派で素敵な授業でしたが、多様な学習ニーズを想定した様々な配慮や工夫がされていたか?という本質的な部分でいうと、
こちらは「One-BIG-Size-Fits-All」という気がしました。
来年度もあるようですので、次回はぜひ、がっつりとUDLに向き合ってくださることを期待しています。
なんといっても、附属小の先生方、実力はお持ちのはずですから。
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(私は再び群大附小の敷居をまたげるのでしょうか)
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