「聞いたら怒られる」と思っていたんだ・・・・|アンダンテ西荻教育研究所・アンダンテプリモ

お問い合わせ

電話番号

電話番号

ブログブログ
  • HOME
  • ブログ
  • 「聞いたら怒られる」と思っていたんだ・・・・

新しい記事

「聞いたら怒られる」と思っていたんだ・・・・

JR中野駅。乗り換えついでにキオスクで飲み物を買っていたら

背後で「ジャマなんだよ、ババア!」と怒声がして、ビクッと振り返ってしまいました。

怒鳴られていたのは、大きな荷物を引きながら右往左往していた年配の女性。

たしかに、乗り換え客でごった返す駅のコンコースで、人の流れに乗れずにキャスター付きのバッグをずるずる引きずりまわしている様子は危なっかしい限りですが、

おそらく地方から出てこられたのでしょう、

電光掲示の案内を見ても、何番線に向かえば良いのか迷っているようです。

思わず「どちらに行かれるんですか?」と声を掛け、

「あぁ、西荻窪でしたら、このエスカレーターを上がって6番線に来た最初の電車に乗ってください。その次の電車は、西荻窪には止まらないので気をつけて」

と、案内しました。

親切とか思いやりとか、そういう次元ではないんですよね。

旅好きだった私は、国内外問わず各地で、そのおばさんと同じような状況に置かれ、

行き先が分からずオロオロしていたことなど数知れず、

で、そういう時には見知らぬ人から「どちらまで?」とか“Can I help you ?” と声を掛けてもらい、助けられてきました。

そんな経験をした町は、なんとなく良い街に来たと思うし、好きになるけれど、

嫌な思いをすると、ずっとそこは、嫌な場所になり続ける。

あのおばあさんにとって東京が、怒鳴りつけられた嫌な場所ではなく、ほんのちょっぴりでもホッとした思い出とともに記憶に残ってもらえたらな。

で、そんな出来事でふと頭をよぎったのが

うちのSSTグループ指導をしているスタッフから聞いた話。

「話の内容が分からなかったり、聞き洩らしたりしたときに、相手に何と言って聞き直したり質問したりしたらいいと思う?」という問いかけに、

参加していた子どもたちが「えっ、聞いていいの?!」と、びっくりしていたというのです。

なんで聞き直したらいけないと思うのか尋ねると

「だって、怒られるよ」という返事。

生まれてからまだ10年も経たない間に、この子たちは

「聞き返したら怒られる」という体験を、それぞれに重ねてきたんですね。

「えっ、何?」って聞き直したり、一度話されたことの意味が分からなくて「○○はどうするんですか?」って質問したりすると、「だから今、言ったでしょ!」とか「ちゃんと聞いてないからわからないんでしょ」って言われてしまう。そういう光景は、学校の教室でも結構見られます。

例えば相手が外国人だったら、「言葉が伝わらなかったんだな」と、もう一度言いなおしたり、易しい表現で言い換えることを、私たちは自然にやると思うんですが、

同じような環境で育ち、同じ時間を共に過ごしている集団の中に、聞くことが苦手で、聞いた情報を処理しきれなかったり、内容を理解しきれなくて困っている人がいても全然おかしくないということを、私たちは忘れがちです。

慌ただしい都会の駅のように、時間に余裕がなかったり、自分の行き先だけに気を取られている人は、行く手を遮るような行動をする人にイラっとしてしまう。

同じように、いま言ったばかりのことをそのまんま聞かれたり、先を進めたいのを遮るような聞き返しをされると、大人はつい「ちゃんときいてないからでしょ!」って思ってしまう。それもよくわかります。

でも、子どもたちの「聞いたら怒られる」という言葉にハッとしたのは、

だから彼らは、わからなくて固まってしまったり、ただオロオロしていたり、見当はずれな行動をとって失敗したり、はたまた、わからないからふざけて別のことをしたりして、余計に怒られる羽目に陥ってしまうのではないか、と思ったのです。

極端な話、「聞いてないからわからない」のではなく、「わからないから聞けない」ともいえます。

そんな子どもたちには、

「もう一回言うから、良く聞いてね」と繰り返すとか

「それは、○○するという意味だよ」と易しく言い換えるとか、

小さなことでも、彼らには大きな支援であり、成長のチャンスです。

子どもたちが

「聞いていいんだ」

と思える幼稚園や学校、あるいはご家庭の雰囲気を、作れたらなと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

優先席が居眠りサラリーマンに占拠されている東京の通勤電車も、やさしくないなぁと思う今日この頃です。

↓↓↓

★この記事を面白いと思った方、当ブログを応援してくださる方は、

にほんブログ村 教育ブログへ本日も1クリックをよろしくお願いします。

【にほんブログ村 教育ブログ】へリンクし、人気ランキングの1票となります。

*当ブログ上の情報およびコンテンツの著作権は全て筆者に帰属します。
*トラックバックは歓迎♪(スパム防止のため承認制にしております。投稿後TBが反映されるまで少々お時間がかかりますのでご了承ください

アーカイブ

アンダンテ西荻教育研究所・アンダンテプリモ