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で、卒業文集の原稿清書の支援はどうなった?/ご賛同ありがとうございました。

3月7日に<30年変わらぬ卒業文集の書式が、注意集中や読み書きの苦手な子にどれほど困難か> という記事を書きました。中断していましたが、今日はその続きです。

前記事で、こういった課題の見えない「無配慮さ」についてお伝えしましたが、文句を言っても始まらない。明日出さなければならないという原稿を、とにかく1時間で書きあげるにために私が手伝ったことは、「ラクに作業を進められる条件をいかに整えるか」。

「ラクをする」というのは、悪のように、教育現場(特に日本)では言われがちですが、そもそも正しい鉛筆の持ち方や正しい姿勢というのは、それが、余分な力が余分なところに入らない「最もラくな姿勢」なのです。でも、ともすれば教育現場(特に日本)では、「姿勢を正しなさい」「シャキッとしなさい」「背中をピンとしなさい」ということばで表現するために、姿勢の維持が難しいお子さんは、かえって背中や肩、腕などに変な力が入って、余計に長時間課題に集中することを困難にしてしまいがちです。

早く、早く。早くやらないと、間に合わないよ・・・!と焦るAくんに、「まぁ、まぁ、まずは準備を整えようよ」。「まず、椅子をもう少し下げてごらん」はやる気持ちのせいか、心もち机に近寄りすぎ前のめりになっているAくんの椅子の位置を直します。(場合によっては、机・いすの高さの調整や、足が床に届かない子には踏み台を置いてあげるなども大切です) あわせて、写す元である下書き原稿と、写す先の清書用の用紙の位置も整えてあげます。こういったさりげない“調整”をしてあげるだけで、自然と良い姿勢になり、目を動かす距離も負担をへらせる。結果、疲れず集中して作業できるようになるわけです。

次に、筆記用具の選択。これは2Bの鉛筆、HBの鉛筆、シャープペンシルから本人に選んでもらいました。最初、HBの鉛筆でとりかかったのですが、芯の先が丸まってくると、マスの中におさまるように漢字を書くのが難しいことに気づき、「やっぱりシャープペンにする」と途中で自分から変更していました。

そして、「秘密兵器だよ」と、私がとりだしたのが、こちら。

これ、アメリカで買ってきたお土産です。商品名Reading Helper。1ドルもしない手軽さと、プラスチック製なので扱いやすいと思って買ったんですが、要は、今読んでいる行をハイライトし、見ない部分を隠せればいいので、他のもの(色紙や定規)でも代用可能ですね。

これはAくんには助けになったと、本人もあとで感想に書いていました。

そして、下書きの「読みあげ」も必要かな?と思ったのですが、これはやってみたら無くてもできたので、今回はなしです。

その代わり、「消しゴムで消す」作業は、私がやってあげました。なにしろ、小さなマスからはみ出さないように、きれいな字で書く、というのはAくんにとって至難の技。当然、何度も一度書いた字を消すという作業が必要になります。Aくんが消すと、他の字も消えてしまう(⇒イライラしてしまう)だけでなく、そのたびに書く作業が中断され、どこまで書いていたか、次にどこを書くかが分からなくなってしまい、非効率的=負担が大きくなってしまうからです。それから、清書の最中に誤字脱字があったときも、今回は私がその都度指摘することにしました。このタイプの子どもたちは、同時にいくつもの(脳内の)作業をこなすことに困難があります。“字消し役”と“誤字脱字チェック”の役割を私が代行することで、ワーキングメモリーの節約を図ります。

こうした手立てをとりながら、途中5分の休憩をはさんで、1時間ちょっとで卒業文集原稿の清書を終わらせることができました。

教室内での支援や、ご家庭での宿題のヒントになればと思って書きましたが、

これはあくまで、アコモデーション(配慮)的な支援です。

そして、こうした個別の支援を教室で受けることにAくんは常に抵抗を感じています。(だから、たぶん先生に助けを求められず、提出前日まで手をつけられずにいたのだと思います)

だからこそ、

UDL(学びのユニバーサルデザイン)の視点での解決を考えたいと思うのです。

そもそも、この卒業文集じたいが、一部の子どもたちにはアクセスできないようになっているという視点です。

「適応ための負担は、学習者ではなくカリキュラムが背負うべき」・・・・UDL前文より。

次回はそのあたりについて書く予定です。

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3月11日~15日のアンダンテの臨時休講分の授業料払い戻しについてお知らせするお手紙を、全会員様に発送しました。そのうえで、「よろしければ払戻しに相当する金額を今後の運営と、被災地への救援金寄付に充てさせてもらえないか」と、生徒さんたちに呼びかけたところ、とてもたくさんの方々から「払戻し不要」とのお返事をいただきました。なかには、今回休講になった授業には該当していない方々からも、「もし今後あれば」という意思を書いてくださったり・・・・。

本来であればお返しすべき、お客様の大切な授業料。突拍子もない私の勝手なお願いで、お叱りを受けることがあれば甘んじて受けるつもりでいましたが、予想以上に多くの方々からご賛同いただき、胸がいっぱいです。この場を借りて感謝の気持ちをお伝えするとともに、添えられたメッセージ(一部ですが)を、以下にご紹介させてください。

  • お手紙を拝見し、被災地へ寄付していただけることをとてもうれしく思っています。連日、テレビで被災者の痛ましいニュースを見て胸を痛めていました。少しでもお役にたてるなら、ぜひよろしくお願いします。

  • とてもいい方法だと思います。大賛成です。もしできるなら、発達障害の子供さんたちのケアに役立つ形で寄付していただけるとありがたいです。日常が崩れたり、避難所で不安や不快が強くなっていたり、定型発達の方々よりもつらい思いを感じていると思うので・・・。「もしわが子だったら・・・」と思うと、何かせずにいられません。

  • 丁寧な資料をありがとうございます。息子は停電中でも電車さえ動けば授業に行かせてもかまいませんよ。先生方も大変ですが、困難を乗り越えていただきますようお祈りいたします。何かお手伝いできることがありましたら、遠慮なくおっしゃってください。

  • 今、日本全体で頑張らないといけない時ですよね。皆で協力し合って乗り越えていきたいですね。“アンダンテ”が大変な時は一緒に頑張りたいです。先生方、頑張りましょうー!

ありがとうございます。アンダンテの業務・授業は、節電を心がけつつ、ほぼ平常通りになりました。救援金は、まとまった時点で受付団体に送ります。

一人ひとりが、すべきこと、できることを、精いっぱい。そのことを常に念頭に置きながら。

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