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こんなにたくさんの手が挙がるんだ・・・!~NYレポート2-⑩

P.S.166のメアリー・ホアー先生は、「考えることについて考えることによる問題」(こんな訳し方でいいのか不安・・・・→To problem by thinking about thinking)という課題の授業を見せてくれました。Img_0515

Img_0516_2 まず最初にやったのが、口を開かないで背の順に並んでみよう! というゲーム。しゃべったら失格。お互いに質問したり話し合ったりしないで情報を得たり推理したりして、みんなで協力し合って「背の順に並ぶ」という問題を解決するわけです。

(・・・・てことは、アメリカの学校では普段は背の順に並ばないのか?!)

さらに難題は「誕生日順」。指で示したり、ジェスチャーで意思疎通をしたり、子どもたちはあの手この手で考えますが、失格者もちらほら出現・・・・。

こんなゲームを通してメアリー先生が学ばせたかったのは、「異なった考え方があり、異なった学習方法がある」ということ。違いがあること、そして、違いを知る方法もまた、いろいろあること。

(余談ですが、LD学会の分科会で広島少年刑務所の発表者も同じゲームを紹介していました。あれは確かコミュニケーション方法を学ぶのが目的だったと思いますが。)

一方、ジェニファー・トリズラーノ先生の5年生算数の授業は、多角形について考える授業。Img_0524 プリントとノートを併用し、プリントは授業のワークシートとして、ノートは自分の考えを書いたりする際に使っているそうです。Img_0523 プリントは予習用とテスト対策用として、いつも2枚用意するそうです。また、ノートは州の統一テストではどのように考えたかを示すことが求められるので、そういった対策でもあります。SA的に考えてもワークシートとノートの併用、使い分けは理にかなっていると思いました。

それにしても、ほとんど全員の子が、我も我もと「あててくれ~」といわんばかりの勢いで手を挙げている様子を見て、高学年でこれほど活気のある授業ってすごいなぁと、感心してしまいました。

誤解を恐れず言えば、ジェニファー先生はべつに取り立てて「面白い」「楽しい」授業をしているわけじゃありません。ジョークなんか言ってなかったし、特別な教材を使っていたわけでもありません。「三角形の特徴を説明できる人?」なんて、むしろ「けっこう難しい内容やってるんだなぁ」と思うような質問を投げかけたりもしていましたし、使っているものも黒板、プリント、ワーク、ノートで、ごくふつう。だけど、「すべての子どもたちが学べる授業」を実現しちゃってるから、どの子も「学ぶこと」そのものを面白い、楽しいと思えるのではないでしょうか。

それはきっと、見て、聞いて、読んで、感じて、考えて、書いて、描いて、話し合って、・・・・と一つのテーマを多感覚で学べるよう様々なアプローチで示すことを積み重ねてきた上にこの日の授業があって、一人一人が自分の学び方で獲得できているからみんなの手が挙がる。

そういう授業を、彼女は見せてくれたんだと私は解釈しています。

ニューヨーク市が取り入れた教員研修Schools Attunedと、受講した先生方の実践について取材し、また自分自身もSAを修了することができました。なぜ私がSAにこだわってきたのか? それは、SAの考え方は、そのまま教育のインクルージョンの土台になるからです。10回にわたってご紹介してきたNYレポートは今回で一区切りとしますが、今後もニューヨークで学んできたことをベースに話したり書いたりすることが続くだろうなぁ。

最後に、取材に協力してくださったP.S.76, 88, 166の先生方、そして私のSA受講と取材のコーディネートを引き受けてくださったニューヨーク市教育庁のBill Stoneさんはじめ関係者の皆さんに心よりお礼申し上げます。

これまでのニューヨークレポートまとめ読みは→こちら

SAの詳細、P.S.166の先生方の授業の様子は、昨年のCRNの連載(→こちら)でご覧いただけます。

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