落ちこぼさないための「ちょっとしたこと」|アンダンテ西荻教育研究所・アンダンテプリモ

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落ちこぼさないための「ちょっとしたこと」

前回の話の続きです。

言葉の壁に阻まれてしまった私、とはいえ、すごすごと引き下がるわけにはいきません。何しろ私には、「これを学びたくてはるばるニューヨークに来たのよっ!」という明確な動機付けがあります。でももしこれが、まるで自分の関心外の話題だったり、予備知識もなくちんぷんかんぷんの内容だったら、とっくに放棄していたと思います。

そこで、我々「劣等生」の取った第一の手段は「わからないときは、きく」という態度でした。きょろきょろと、周りの参加者のやっていることを見回したり、「いま、どこのページやってるの?」「今からなにをすればいいの?」と、隣の席の人に聞いたり、講師に尋ねたり。

すると、講師も周りの参加者(ほとんどが教師)も、初めは私たちをどう扱ってよいか戸惑っていたのが、だんだんとそれぞれのやり方で手助けしてくれるようになりました。

講師陣は、話題が移るたびに側に来て、「今、ここよ」とテキストの該当箇所を指差してくれました。また、複雑な指示にポカンとしていると、必ず後から再度説明しに来てくれました。

参加者の先生たちも、とても気に掛けてくれました。前の席に座っていた先生は、付箋に「○ページの○番」と書いてまわしてくれました。

ディスカッションで同じグループになった先生たちは、「今こういう話になっているわよ」と簡単に要約してささやいてくれたり、話に加われない私に「よかったらハルエ、日本ではこういう場合どうしているか話してくれる?」と話題を振ってくれたり、こちらが聞き取れないとシンプルな英語でゆっくり言い直してくれたり、・・・・

もしも「しっかり話を聞いてなさい!」とか「何言ってんの?ちゃんと話してよ」とか「隣の人のを見ないで自分で考えなさい」みたいな言われ方をしたら、きっとやる気をなくして、そこで終わっていたでしょう。でも、こんな風に支えてもらっていると、あら不思議。気づけば私も相手の話を何とか聞こうと努力しているし、文法めちゃめちゃの片言英語でも自分の言葉で伝えようとしているじゃないですか。

逆にプロの通訳が付きっ切りのときは、こういうことは自分にも相手にも起こらないんですよね。もちろん、通訳を介したほうが、もっと深い内容を理解し伝えることができるのですが、ともすれば、できることまで甘えてしまう傾向もあるのは確かかな。。。なんて思ったりもしました。と、これは余談。

ということで、「言語機能に弱さを抱える子」の支援のポイントは

  • シンプルな言葉、短い文で言ってあげる。
  • 口で言うだけでなく、あわせて書いて示してあげる。
  • 事前に学習の内容やあてるところを予告してあげる。
  • 読んだり話したり書いたりする機会、意欲を奪わない空気。
  • 好きなこと、関心の高いことを題材に、読んだり書いたり話したりする力を伸ばす

こんなところかなぁ。。。他にも色々あるでしょうね。

講師の先生も言っていました。「教師に特別なことを求めているのではない。生徒のために、『ちょっとしたこと』をしてほしいだけ」と。

あら? どこかで聞いた言葉。 このブログの、そして本→先生が明日からできること。(まだ読んでない方、クリックしてアマゾンへどうぞ)のコンセプトとおんなじじゃぁないですか。

さらに、次回は、「ちょっとしたこと」以上のこと・・・のお話をしたいと思います。

それは、「ユニバーサルな授業」。後日に続けます。

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※参考文献 "The Mind That’s Mine"  Dr.Mel Levine

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