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ニューヨークから3 親と専門家は一線を画するべき?
引き続き、ニューヨークから。
前回触れたケース会議のロールプレイングで派生した話です。
順序立てに困難を抱えるうちのグループの事例、発表の後で講師の先生が「この子は植物が好きで、家でも父親のガーデニングを手伝っているから、草花を植える手順や成長過程を題材にして、順序立ての方法を学ばせるという方法もいいかもしれないね」とコメントをしました。
グループのメンバーの一人が、「(事例検討会議には)親の意見や考えも採り入れた方がいいだろうか」と答えたところ、講師の先生方の意見は「ノー」だったのです。
衝撃でした。
だって、「親との連携」って大事じゃないですか。それが当たり前と思っているし、たとえばTEACCHだって、「親は最大の療育者」と位置づけてます。
では、ここでなぜ「ケース会議に親の意見の採りいれるのは慎重に」という回答だったのか。
第一に、親というのは自分の子どもに対しての愛情や特別な思いがある→バイアスがかかる。
第二に、親も子どもと同じ問題を(遺伝的に)抱えている場合もある→たとえば整理整頓がうまく出来ない子どもの親に整理整頓の指導を家庭に求めるのは難しいなど。
だから、客観性が求められる専門家会議(※日本の特別支援教育の「専門家チーム」というと、医療や心理の専門会のイメージが強いですが、こちらでは、教員も「教育の専門家」という位置付けがふつう。)に親の意見を取り入れる時は慎重に、という姿勢のようです。
さらに、ここからの話が、あーニューヨークもなんだなぁ。。。と思ったんですが
「子どもの親を変えることはできない。でも、我々教師は最低でも毎日6時間、子ども達に安全で学ぶのに適した時間を提供することができる。」
東京の、比較的教育熱の高い地域で仕事をしているので、普段はなかなか感じないのですが、これまで世界のあちこちで学校を見て、子どもたちに出会ってきた私には、この言葉の意味するところ、その裏側にある問題は重くて深いものです。
ニューヨークなんてオシャレ〜なんて思われているかもしれませんが、ここもやはり、貧困地域を抱え、開発途上国同様に、教育現場は大変なんだろうと思います。犯罪、虐待、家庭崩壊、…「家庭との連携」だなんてとてもとても…な状況におかれている教育現場もあることでしょう。
だからといって、「親はあてにならない。親は除外すべきだ」と、講師の先生達が考えているわけではないのです。
貧困地域で教鞭をとった経験をもつ一人の講師は「9・11のとき、子どもを迎えに来ない親は一人もいなかった。たとえ子どもの育て方がわかっていないような親でも、子どもに愛情のない親はいないんだと、その時に確信した」
そのことを充分わかった上で、子どもに最善の学習環境を提供するのが教師の役割。それこそが本当の意味での「親と、スペシャリスト(教師)の連携」なのかもしれません。
最近の日本の親と学校の関係は、どうでしょう。
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