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覚える・覚えている・思い出す・自動化する3~ラーメン屋のおやじのワーキングメモリー
夏休みも終わったことですし、テンプレート変えてみました。
長らくお待たせいたしました。記憶の話に戻りましょう。
今日は「ワーキングメモリー(作業記憶)」について考えてみます。
ワーキングメモリーとは、かんたんに丸めていってしまうと、頭の中で「あることを覚えておきつつ」何か別の作業をしたり、その記憶に操作をしたりするという記憶の機能です。(すみません、この説明が妥当でなければ、どなたがご指摘ください)
と、ここでなぜか私が連想するのは、ちょっと古い映画ですが、伊丹十三監督の「タンポポ」。(役所広司や渡辺謙が若いっ!)
ヒロイン・タンポポ(宮本信子)が亡くなった夫の店を立て直すための修行として師匠のトラック野郎ゴロー(山崎努)と偵察にまわったラーメン屋の一つで、こんなシーンがあります。
ゴロー:ここの主人は、客の順と注文を全部覚えてるんだ。そうだな、おやじ?
店主:ええ、商売ですから。
(次々入ってくる客、次々と注文、それに応じつつもラーメンを作る手を 休めることのない店主)
ゴロー:な、たいしたもんだろ。しばらく見てな。勉強になるから。
~中略~
客1:チャーシューメン。脂身多くね。
店主:わかりました。
客2:ラーメン固めで。
客3:ラーメンシナチク抜きで
ゴロー:俺だってさ、次があの人でチャーシューメン、次があの人でもやし抜き麺少なく、次があの人で大盛りまでは覚えてるけど・・・・
タンポポ:あの・・・大盛りよりこの人が先でワンタンメンです。
ゴロー:あれ、そうだった?
タンポポ:そうなんです。(一人ひとり指差して)ワンタンメン、大盛りラーメン、それからシナチクメン、にんにくラーメン麺やわらかく、チャーシューメン チャーシューは脂身、ラーメン固めに、シナチクなし!
客たち:おーすごい!(拍手)
あれ、ワーキングメモリーですよね。
ラーメン屋のおやじさんは、伝票にメモをとることなく、客の顔と注文を覚えていました。はじめの客、次の客、その次の客・・・・と新しい注文が入るたびに前の注文を忘れてしまっては成り立ちませんし、当然ながら、出来上がって客に出したら記憶の順番は変化しますね。先に入った記憶はキープしておきつつ、新しい記憶を加えていき、終わった記憶は消していく・・・・さらに、それをやりながらラーメンを作っている!(そもそも、料理自体がワーキングメモリー大活躍の作業なんですが)
常人はこんなことできませんので、伝票にメモするか、食券を利用する店がふつうでしょう。
今は居酒屋でもレストランでも、機械にピッピッピと入力・・・が多いし。
だから、驚異的ワーキングメモリーの持ち主の店主やタンポポならずとも、バイトのお兄ちゃんお姉ちゃんで仕事が成り立っちゃうわけですね。
さて、このワーキングメモリー、もちろん学校での学習活動にも大きな影響を与えることは、みなさんのご想像のとおりです。
典型的なのは、計算の暗算や筆算。手順を思い出しつつ、今どこまでやったのか、そしてその結果を覚えておきつつ、次の作業へ移り・・・を頭の中で繰り返して答えを導いていきます。学年が進むほど計算って複雑になって、より大きなワーキングメモリーの容量が必要になってきますね。
作文を書くときも大変。そもそも何を書こうとしていたのかを最後まで覚えておきながら、何をどういう順序で書いていくかを組み立てつつ、どこまで書いたかを把握しつつ、漢字を思い出したり、句読点や文法に気をつけたり・・・・と、めちゃめちゃワーキングメモリー使う作業です。
あるいは、長い物語を読んでいるとき、最初や途中の部分を覚えていなければ話の因果関係や伏線が理解できないかもしれないですね。話すときも、ワーキングメモリーを使って頭の中でまとめながら話していかないと、だらだらと要領を得ない話し方になってしまうかもしれません。
短期記憶・長期記憶と同様に、ワーキングメモリーにも個人差があります。ここに弱さを抱えているために、上記のようなことを極端に苦手としている子もいるかもしれません。
ということで、話はまだまだ続きますよ。
この記事に書くワンシーンのために、ツタヤに行って「タンポポ」のDVDを借りてきた私に、お情けのワンクリックを。↓↓↓
※参考文献 "The Mind That’s Mine" Dr.Mel Levine
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