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「米国の35年分の成否を生かしてほしい」~NY市の特別教育改革についてインタビュー
年内に完了させたい11月のニューヨークレポート、第8段です。
連載のまとめ読みは→ こちら
さて、ニューヨーク市は現在、特別教育のReform(改革)の真っ只中にいます。
この改革の目的と進捗状況について、教育局のリン・カンドラック(Lynn Kandrac)さんに話を伺いました。
*現在進行中の特別教育改革について、概略を教えてください。
「改革」というより、むしろ本来すべきことを適用させるための変更です。もともと連邦法では、障害を持つ生徒が無料かつ最小限の制約で、同年代の障害のない生徒と限りなく同様に適切な教育を保障することが定められています。ところが、NYCは全米でも最大の学校区で学校数が多いため、それが実現していませんでした。障害のある生徒は、適切な教育プログラムを提供できる近隣の学校に送り込むという形をとってたため、たとえば交通事情でスクールバス内で過ごす時間が長い、近所の子どもたちと遊べない等の支障が出ていました。
また、高機能自閉症でも行動障害でも、なんでもかんでもどんどん特別教育に送り込むので、特別教育の枠がある学校区の人数が増加しています。この傾向を元に戻していく、つまり、障害のある生徒も自分の住む地域の学校で最適の教育を受けられる体制にすることが目的です。
現在力を入れているのは、各学校に「どの学校にも障害児が来る」ことを認識させること。校長も教師たちも、自校が障害児を受け入れるにあたって、どんな資源があるのかわからず、戸惑い気味です。
*具体的には、どのようなことを?
Children’s First Network of proffessionalという学校支援体制を構築しました。これは、様々な分野の専門家集団。たとえば「IEP(個別教育計画)の書き方」とか「保護者対応の方法」など、学校のニーズに応じて助言や研修に出向きます。現場レベルの指導ではなく予算や運営面など学校の事務手続き上のサポートです。昨年度は250校のモデル校で実施、今年度は市全域の全校(1600校)に広げました。
*成果や新たな課題は見えてきていますか?
まだ成果の出る段階ではないですが、かつては「(支援の必要な)この子をどこに送ったらいい?」という発想だったのが、「この子のためにうちの学校の、どんな資源どう使えばよい?」という質問が出るようになってきました。(これまで特別教育のプログラムやクラスが無かった学校では)自分たちが何をしたらよいのかわからずパニックになっているので、障害があるかないかという視点ではなく、一人ひとりの多様性を尊重することを推進しています。
*現場の先生たちの混乱ぶりは目に浮かぶようです。東京都は、大都市で人口も学校数も多い等、ニューヨーク市と共通点が多いですが、最近、通級指導を全ての学校で行う方針を打ち出したところ、説明会では不安視する声が教員からあがっていました。
特別教育の改善は、特別教育だけが変わるということではなく、学校教育全体が改善されるはずです。「この子がどういう状況の時、どういう支援が必要? どういう教え方がいい?」と。
*日本は特別支援教育が制度化されて4年になります。通級指導などの支援の対象となる子どもを見つけ“取り出す”動きが中心ですが、米国では逆に、通常教育に“戻していく”動きに移っていますね。ニューヨーク市の改革の今後の動向は非常に興味深いです。
米国は1975年の全障害児教育法ができてから今に至るまで35年になります。日本は(インクルーシブ教育をめざすのに)同じだけの年数をかける必要はなく、私たちの35年分の成果と失敗から学んでほしい。(個々にあった学び方を支援する)特別教育の手法は、ほかの子どもたちにも有効ですよね。
*最後にお聞きしたいのですが、現場の先生たちの意識改革には、強力なイニシアチブと効果的な研修が必要と考えます。そのあたり、ニューヨーク市ではどのように?
SA(the Schools Attuned) 、UDL(Universal Design for Learning) 、PBIS(Positive Behavioral Intervensions and Support)など、様々な考え方やプログラムを導入しています。
また、コラボレーションが大事です。通常教育の先生と特別教育の先生との協力、学校と親の協力、就労にむけた連携などですね。
※じつは、私たちがUDLの翻訳を進めているところで、数日前にCASTでミーティングをしてきたことが話題に上がると、リンさんの目の色が変わりました。ニューヨーク市教育局にも、UDLを推しているメンバーがいて、この改革にもその理念が盛り込まれているそうです。
UDLについては、こちらもご参考に。
2010年11月4日 ニューヨーク市教育局特別教育推進部署オフィスにて
お話 Ms Lynn Kandrac インタビュー・記事構成 金子晴恵 通訳 バーンズ亀山静子
※次回は、国連インターナショナルスクールで見学させていただいた、ICTを活用した日本語の授業のお話を報告する予定です。
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この年末は、例年に増して忙しすぎです! 2010年の残り日数よりも、「やることリスト」の項目数の方が多いです(涙) 「すみませ~ん、延長お願いしまーす!」 3日ぐらいでいいんで。
ところで全く無関係ですが、節約レシピをつけてみました。
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