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個別指導計画、はじめの一歩
「医者ってのは、経験と知識と直感がものを言うんだ。検査なんて裏付けにすぎない」
と、日曜夜のドラマ「GM~踊れドクター」で、ヒガシ扮する天才GM(だけど本人がやりたいことはアイドル)が言ってました。
おぉ~、そのセリフは・・・・!
そういえば、このドラマで度々出てくるシーン、総合診療科で患者の病気をつきとめるためのカンファレンス場面は、先日の個別指導計画の研修にちょっと重なりました。
天才医師は決してカンだけで病気を当てているのではなく、担当医をはじめ、それぞれが患者を診て気付いた症状や問診、既往歴などで得た情報、などなどを総合して、原因を推理し、否定できない可能性を、一つ一つ検査で潰していくという、とても合理的かつ確実な方法をとっているんですね。
さて、思わぬ長期連載になってしまってますが、個別指導計画の話を続けます。
まとめ読みは→ こちら
例の研修、後半は「実際に計画を立ててみよう」ということをやりました。
シンプルで分かりやすそうなケースを提供してくださいと、その場でお願いしたところ、Xくんの名前が挙がりました。担任は、若手のA先生。(こういう研修で若い先生をダシにするのは、いいことですね)
もしかすると、「専門家なら、資料を見ただけで、どんな子かわかって『この子にはこういう支援をするといい』なんて言ってくれる」なんて思われているかもしれませんが、文字情報や数字だけで会ったこともない子を判断できるわけないです。もし、そんなことができるという“専門家”がいたとしたら、インチキ占い師のようなものです。
この場でXくんについて最も情報を持っているのは、担任の先生ですよね。
では、まずA先生から、Xくんがどんな子か話してください。
他の先生方は、A先生から上がってきた情報をプラス(強み)とマイナス(弱み)欄に振り分けていってくださいね。
(ここでは、個人が特定されないように、実際に上がった話とは少し内容を変えて書きます)
A先生が言うには、
- 音読がたどたどしく、ひらがな・カタカナも思い出し思い出し書いている。
- 話を聞くのは苦手なようだ。
- 絵を描くのが好き。とくに恐竜の絵に夢中
- 体育が好き
- となりの席の子などとのトラブルはだんだん減ってきている
・・・「ちょっと待ってください。なんでトラブルに?」←私の質問
「授業中に、ちょっかい出したりしちゃって・・・」
「なんで、ちょっかいを出すんでしょう?」
「えっと・・・話を聞くのが苦手で、授業で長い話が続いたりするとわからなくなって、暇を持て余して、ついとなりの子にツンツンしてみたり」
「なるほど」
こんな感じで、昨年度の担任の先生からも情報をもらいます。
- 去年は、席に座っていられなかった。今年は授業中1度も立たない。すごく成長。
- みんなの人気者
- 家庭のサポートがしっかりしている
などなど。
専科の先生にも、振ります。音楽の先生からは
- 歌は好き
- がまんがきかない。
「どういうことですか?」「まだ音を出さない、と言っているのに、目の前に楽器があるとすぐ鳴らしてしまう」
と、こんなぐあいに、校長先生や通級の先生まで、Xくんにかかわる人それぞれから、情報をあげてもらいました。(副校長先生が、一生懸命ホワイトボードに書き出してくださいました)
さらに、教育センターでとったWISCの結果もあります。
では、A先生、ココまでに挙がってきたプラス情報、マイナス情報から、支援に使えそうだと思える強い力と、Xくんの苦手の背景になっていると思われる弱い力が、何か見えてきましたか?
「えーっと、強いのは、絵。描くのも見るのも。それから、体を動かすことや作業がある時間は取り組みやすい。弱いところは、聞いて理解するのは苦手・・・」
私も同じこと思いました。それに、WISCの結果がそれを裏付けてますよね。視覚情報には比較的強いのに対して、言語性の課題は弱いみたい。音楽で、先生の指示で待てずに音を鳴らしてしまうのも、「がまんがきかない」というより、もしかしたら口頭指示という聴覚情報よりも、目の前の楽器という視覚情報に先に反応してしまっているのかも・・・・?
ね。
アセスメント=検査 ではないんですよ。
アセスメントは、こうやって情報を集めて整理し、分析する作業。
大事なのは、先生方の日々の観察と記録です。そして、発達障害や学習のつまずき方についての知識を持つこと。検査結果は重要な情報の一つだけど、あくまでも裏付けにすぎないんです。
ね。似てるでしょ?GMのセリフと。
異論もあるかと思います。いい加減すぎる、こんなのアセスメントじゃない、と。
でも、私は、これが基本だと思ってます。初めは、この程度からで、じゅうぶんだと。
日々の観察や記録と、先生同士の会議や普段の会話の中から、情報を集め、積み重ねていれば、あらためて長時間かけなくて済むし、特別なツールも必要ない。
ただし、ダイエット計画の例でお話ししたように、多角的で具体的なエピソード、そして、プラス面もたくさん入れることが大切です。
チェックリストの類も、使いようです。
その子の“問題探し”に終わるなら、使わない方がまし。
でも、自分では気づかない角度からの見方に気づいたり、広範囲な情報を客観的に集めるのには、とても有効です。もちろん万能ではないことも念頭に置いて用いる必要があります。
ただ、詳しいチェックリストであればある程、記入に時間もかかりますが。
眠気をこらえつつ、先日の研修の再現風にしてみました。
ちょっと読みにくいけど、許して~。
シリーズもう少し、続きます。
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