「知らない」ことは、罪。|アンダンテ西荻教育研究所・アンダンテプリモ

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「知らない」ことは、罪。

1年ほど前の、ある寒い雨の日のこと。

午前中の仕事がおしてしまい、近くの吉野家で昼食をパパっとと済ませて、急ぎ足で職場に戻ろうとしていた時でした。

突然、前を歩いていた男性が、ピタっと足を止めたので、「おっととと・・・!」私の傘が男性の傘に後ろから突っ込んでいくような形でぶつかってしまいました。

「ごめんなさい」と謝ったのが相手に聞こえたかどうかは分かりませんが、

男性はすぐにまた歩き出し、私もその後ろを歩きはじめました。

するとまた、男性が、立ち止まったかと思うと、今度は2、3歩バックしてきたのです。

西荻窪の駅前の道は、狭い割には人通りが多くて、その上、雨なのでうつむき加減で歩いてます。

当然また私は男性とぶつかり、おもわず顔をあげ

「ちょっと・・・・!」と言いかけて、ハッと気付きました。

男性は、前に進んでは、立ち止まり、ちょっと戻る、を繰り返しながら歩み続けています。

あ、“トゥレット”なんだ。

トゥレット症候群(トゥレット障害とも言います)は、日本トゥレット協会のサイトから引用すると、

   チックとして知られている,突然

   出現し,繰り返す素早い動き(運動チック)と音や声

   (音声チック)とを主な症状とする小児期に発症し,

   慢性に経過する神経の病気です.

発達障害と併発するケースもあるので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。

本人の意思とは無関係に、体が勝手に動いてしまったり、言葉が勝手に出てきてしまうのです。

さて、ここでは、トゥレット症候群についてお話ししようというわけではありません。

「知っている」か「知らない」かで、どれだけ違うか、という話です。

もし私が、これまでにトゥレットの子に出会ったことがなかったら、トゥレットについて何も知らないままだったでしょうし、

知らなければ、間違いなく、ぶつかった男性に

「ちゃんと歩いてください」と文句を言っていたと思います。

雨の商店街で、立ち止まったり、戻ったりしながら歩いているなんて、

ふざけてる、迷惑だ、常識がない、・・・・そう思ったに違いありません。

だけど、知っていれば、

私がその人とぶつからないように気をつければ、それで済む話。

どんな障害や病気にしてもそうですが

「知ってもらう」ことの大切さは、そこにあります。

発達障害に関して言えば

10年前に比べれば、かなり理解は広がったと思いますが、それでも、まだまだという感があります。

でなければ、学校で

書字に困難を抱える子が「テストでは、きれいな字で書かないと×にします」と言われたり、

放送に耳をふさぐ自閉っ子が「がまんしなさい!」と無理やり手をはずさせたり

ぴょんぴょん跳ねて先生から「みっともない!ちゃんとしなさい」という言葉を浴びせられたり、

・・・・なんていう話が、今なお耳に入ってくるなんてことは、ないはず。

「知らないことが、罪なんだよ」

そう、昔ある人に言われたことがあります。

知らないのはわざとじゃないのに、それが罪だなんて言われても困る、と言い返したら

「だから、知ろうとしてほしい」と。

今はその意味がよくわかります。

そして、知っている人は、知らない人に伝える義務があるとも思います。

先生たちに知ってほしい。

「知らない」ことによって、子どもを傷つけていたり、子どもの学びの機会を奪っていたり、しているということを。

知っていてくれるだけで、救われる子どもたちがいるということを。

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