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アンダンテのお茶プロブレムと「小1プロブレム」・・・その心は?(2)
前回の話のつづきです。
「今どきの若いもんは、お茶も入れられない」という議論は、
言ってみれば“既に若くないもん”の繰り言に過ぎず、
当の“若いもん”たちには、何の罪もないのですよね。
彼らに、お茶を入れてもらう必要があるのなら、そうきちんと伝えればいい。
おいしいお茶が飲みたいなら、おいしいお茶の入れ方を、彼らに伝授すればいい。
自分だって、いつか誰かに教わってきたのですから。
自分が当たり前と思っていることが、相手には(世代や文化、環境が異なれば)異なる場合は少なくありません。
「小1プロブレム」も、一種の世代間ギャップ、異文化理解の目でとらえてみたら、すべきことが見えてくるんじゃないか、そんなことをふと考えたわけです。
学校の先生に、発達障害の子の苦手さについて説明すると、「今はそんな子がたくさんいる」という話になることがあります。
発達障害が増えているのでしょうか?
一概にそうとは言えないような気がします。
一方で「親のしつけ、子育て力の低下」とか「自由保育の悪影響」とか、いろんな説を耳にしました。
そんな単純な話ではなく、たぶん何か一つの特定の原因があるわけではないように感じています。
「先生のお話を静かに聞く」ということが、当たり前だった世代からすれば
授業中にもかかわらず、おしゃべりしたり立ち歩いたりする子どもたち「とんでもない」と映りますが、
「公」の空間、集団生活という環境も、ずいぶん様変わりしました。
ビデオなんかなかった時代に育った私、学生時代にビデオデッキを買ってからも、しばらくは映画を見るときは、ノンストップで最後まできちんと座って見ていたものです。
長年の間に体に染みついた習慣ですね。
ビデオなんだから、途中でトイレに行きたくなったり、おやつを食べたくなったりしたら、一時停止して席を立てばいいんだということに気付いたのはしばらくしてからです。
映画館ではおしゃべりしてはいけない、音を立てて物を食べてはいけない、席を立ってはいけない、周りの人に迷惑がかかるから・・・・そんなことは幼いころから知らず知らずに教えられてきていたんですね。
今の子どもたちは、生まれた時からお気に入りのDVDを自分の好きな時に好きなペースで自分の好きなように見る環境があたりまえにあって、逆に、公共の場や集団の中での行動の仕方を学ぶ機会は、昔と違って「知らず知らずに身につける」ほど多くはないのではないでしょうか?
今の子どもたちはもちろん、大人でさえも。
映画に限った話ではありません。少子化で、子ども同士の集団で過ごす時間も、激減しています。
順番を待つ、交代で使う、ゆずりあう、がまんする、お互いの言い分を言い合う、・・・・そんなことが必要な「自分中心ではない世界」に足を踏み入れて、まだ間もないのが、1年生の子どもたちなのではないか、と。
人と人とのかかわりだけでもありません。
たとえば姪っ子が朝一番に「牛乳飲みたい」と言ったとき、たまたま冷蔵庫に牛乳がなかったら? ・・・私は即、お向かいのコンビニに行って買ってくるでしょう。24時間365日、大概のものはすぐに手に入る便利な世の中です。
いついつまで待つとか、しかたがないからがまんする、という経験を繰り返す中で育つ力が、じゅうぶんに育ち切っていない時点で、入学の日を迎える・・・・それが現代なのかもしれません。
また、今の社会は、便利なだけでなく、刺激過多だなと感じます。
自分が子どものころに比べて、おもちゃ一つとっても、音や色、光が過剰だし、子ども番組を見ていても、テンポが速いなぁと驚きます。
店や街も、しかり。
聴覚的にも視覚的にも刺激的な空間で、じっくりと誰かの話に耳を澄まし、傾け続ける・・・・それって簡単なことではありません。
それが当たり前の環境の中、生まれ、育ってきた子どもたちです。
ペットボトル飲料が当たり前の環境で、若いスタッフたちが自分の入れたお茶の不味さに気付いていなかったのと同様に、
いまどきの1年生は常識知らずで扱いづらいわけではなく、まだ「知らない」だけなのかもしれません。
だったら、教えるしかない・・・・か。
集団生活の基本ルール、注目の仕方、話の聴き方、発言の仕方、授業中の約束事、・・・・ひとつひとつ、少しずつ、ていねいに教え、育んでいく。そこからスタートする。
たぶん、それが早いし、それしかないのでしょうね。。。
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