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平成のトットちゃんたち~どうする先生?(2)
波紋を呼んだ(?) 前回の続きです。
さて、平成のトットちゃん、Aくんと、その授業の様子について、いろいろな見方があるかと思います。たくさんコメントもいただきました。
極端な話、Aくんに対して「教師をおちょくったり、授業中にふざけて遊んだり、なんて悪い子なんだ!」 「“障害”なんだから、普通の学校では無理なんじゃないの?」 「こんな子がいたら授業にならない」 とか
先生のとった言動に対して「子どももにそんなカリカリしなくてもいいじゃないか」「先生の指導力が足りないから子どもが勝手な行動をするんじゃないのか」 とか
誰かのせいにしようとしても、解決にはならないんじゃないか・・・・そういう思いは、このブログで度々書いてきました。
私には、一連のやりとりが、先生とAくんの“思いのすれ違い”に映りました。あるいは、一種の異文化衝突と見ることもできます。
ですから、お互いを理解しあうため、誤解を解くため、双方の思いと文化を知っている立場から“通訳”するのが、巡回相談員としての私の仕事と考えています。
プロということばは好きですが、専門家といわれるのは大嫌いです。
でも、今日はあえて、Aくんのような子どもたちとの学習が本職である私が、通訳してみることにします。
とにかく、好奇心いっぱいの張り切りボーイAくん、ひらがなの勉強にだってノリノリ♪ というか、彼にとって勉強と遊びの境目はなく、何でもかんでも興味の対象、先生の一言一言が、うれしくてしかたないし、見るもの聞くもの、すべてが刺激的。
前回書いた、彼は先生は級友のことばにいちいち反応する、というのにまず先生は手を焼いていらっしゃって、なぜなら「Bくん、えんぴつをトントン鳴らすのをやめなさい」と言った矢先に、Aくんがえんぴつをトントンし始める。「Cさん、机をまっすぐにしなさい」と言った瞬間、Aくんが机を斜めにする。
ぼく、先生大好きなんだ! ほら、こんなにいっしょうけんめい、手を挙げてがんばってるよ。ねぇ、ぼくに言わせてよ! 「わ」も「れ」も、こんなに頑張って書いたよ! 先生、ねぇ、見て見て! ・・・・あ~あ、こんなにがんばってるのに、ちっともこっちを向いてくれないなぁ。
ところが、先生が、なかなか自分の方を見てくれない・・・・というのは嘘で、先生は公平にみんなを見て、みんなを指したいのです。が、Aくんは、言いたくてしかたがない自分のことを「気づいてもらっていない」ような気がしてきてしまうのですね。どうしたら自分を見てもらえるのか・・・・と、必死なんです。だから、
Bくんがえんぴつトントンで先生に声かけられる→ お~、そうか、えんぴつトントンか!
Cさんの机がずれていて先生に声をかけられる→ お~、なるほど、机の向きね!
先生が誰かを注意するたびに、Aくんがまねをする。先生にしてみれば「おちょくってるのか!」とピキピキしてしまうのですが、Aくんのことばにならない“気分”は、
先生、先生! 見て! お~、やっぱり、これで先生がこっちを向いてくれた。先生が声をかけてくれた♪ やったね!
その無邪気な笑顔が、罪なんですよねぇ。。。 さらに、体が常にウズウズしていて、10分も座っていれば、体を動かしたくなっちゃうんです。だから、後ろを向いたり、そわそわ、もぞもぞがとまらない。
(大人でいうと、そろそろ次の予定もあるし、おいとましたい・・・・と気持ちは立ち上がりかけているにもかかわらず、相手の不要な長話に引き止められている時のような感じ、が近いでしょうか?)
字の練習、とっくにできてるのに、先生は全然自分のところにまわってこない。ひまだなぁ。何かすることないかなぁ。あぁ、もうこれ以上座っているのは限界だよ・・・・
床にごろ~ん。。。と、さっきまで全然自分にかまってくれなかった先生が、ぼくのところにわざわざ出向いてくれた! と思ったら、「そんなところに寝たらダメ」だって。「は~い」と起き上がって、
そんなことよりぼくの書いた「れ」を見てほしかったんだけど、見てもらえなかったなぁ。あぁ、先生あっちに行っちゃった。またひまになっちゃったよ・・・
キョロキョロしたら視界に入ったのが、消しゴム。後先考える間もなく投げてみる。そしたら、投げられた相手が投げ返す。
おっ、いいぞ! 野球みたいだ! これは面白くなってきた♪
と、またまた、先生がやってくるんですね、そういうときに。(そのころには、「れ」のことなんか頭から消えてるし)
Aくんウキウキのところへ、先生に「何やってるの?」ときかれたから、元気よく「やきゅう♪」
しかも、「教室から出てやりなさい」とお墨付きをいただいたので、素直なAくん、いわれたとおりに廊下で消しゴムキャッチボールをしてしまう・・・・。これで、退屈な時間から開放されたわけですし、ひょっとするとAくんは、自分が叱られているという事実にまだ気づいていなかったかもしれません。(さすがに、授業後のお説教では理解したと思うけど) 他の子が「ぼくも~」と思わず言ったぐらいですから。
Aくんの天真爛漫ぶりと先生のことばがかみ合っていない様子に、笑いをかみ殺していたのは事実ですが、
本当は、笑い事ではありません。
こんな状態が日々延々と続いたら、その先は学級崩壊かAくんの二次障害か、どっちに転んでもおかしくないのです。実際、そういう教室や子どものケースをたくさん見てきました。ベテランの先生でも新人の先生でも、関係なく起こり得ます。
でも、今の時点で、お互いが理解しあい、軌道修正すればきっと大丈夫。
「お互いに」っていっても、大人と7歳児。相手を理解し、自分を理解してもらうすべをもっているのはどちらか、言わずもがなですよね。
このブログにお付き合いいただいている先生方の脳裏には、もういろいろなアイデアが浮かび始めているかもしれません。
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張り切りすぎて、がんばっている自分を見てほしいあまり、悪意なく“困った”行動をするAくんに、どうすれば“適切な”行動を理解してもらえるでしょうか?
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10分もすれば、体がもぞもぞ「そろそろおいとましたいんですけど」状態になってしまうAくんに、どうすれば床に寝そべったり消しゴムを投げたり教室から出て行かないようにできるでしょうか?
トモエ学園のような電車の教室も、風変わりな運動会も、特別な学校もいりません。
先生が、ちょっと声のかけ方や指示の出し方を変えたり、授業に一工夫するだけで、Aくんは自分がすべきこと、してはいけないことの区別をつけ、望ましい行動ができるはずです。
この先は、授業や子どもの指導の専門家である、先生方のお仕事ですね。
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ここで終わると、絶対「どうしたらいいのか具体的に書け」という声が出ると思うんですが、今日はここでやめておきます。
月末完成が絶望的な本の原稿書きに戻ります。
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