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リコーダーの苦手な子と、練習方法の作戦を立ててみた。 <苦手攻略大作戦>レポート6
夏休み企画の報告最終回は、「リコーダーを吹けるようになる」を目標にした4年生の子のお話です。
作戦の方針は大きく3つ。「道具の改良」「自分に合った練習方法・教え方」「やる気のもとを作る」
第1回・2回で学んだ、自分の強みと弱みや運動機能のしくみ、スキル獲得のプロセスも踏まえて、話し合いました。
最年少参加者の彼は、そもそも字をスラスラと読むことが苦手です。音符もサッとは読めないので、いちおうカタカナでドレミを振ったのですが、それでもまだ難しそう。
一方、リコーダーを吹く際の様子を観察していると、押さえる指は正しくても、しっかりと穴をふさぎきれていないようです。感覚(触覚)がうまくフィードバックされていないのか、もしくは、楽譜を読んだり指使いを考えるのに必死で、穴をきちんと押さえるところまで余裕がないのか。いずれにしても、「もっと使いやすいリコーダーはないものか」と思っていました。そこで、私はリコーダーの穴の周りに木工用ボンドで突起をつくってみました。ボンドは乾くと透明になるから改造されていることは目立ちませんが、明らかに指がフィットしやすくなります。(あなの円周ギリギリのところを囲むのがポイントです。穴がふさがると音が変わってしまうのでご注意) この改造リコーダーを彼に試してもらったところ、空気漏れでピーピー音が出るのが防げることが判明。「ぼくのも家で改造してみる!」と、決定。
次に、練習方法です。
楽譜(カタカナを振っても)を読むのが苦手な彼、むしろ、お手本を吹いてもらって、それをよく見て真似をするというやり方にしたら、吹けることが判明しました。私がお手本で2小節ずつ吹く。彼がメロディを耳で、その指使いを目で覚える。そして自分で吹いてみる。・・・・これを繰り返していく方法が、彼には合うようです。つまり、「(音符、文字)を読む」という最も苦手なプロセスを省き、「実演」という教示にすればOK。
実は私の友人で、合唱が趣味なのだけれど楽譜がまったく読めないという人がいます。彼女は、曲をピアノで弾いてもらう、もしくは歌ってもらったものを録音して、耳でメロディを覚えます。トム・クルーズも、台本を録音してもらうんでしたよね。代替手段の活用で、克服できるのですね。
さらに、練習のもう一つの方法として、「2小節ずつ練習」というのも、彼にはうまくいきました。課題を細切れにすると覚えやすいというのは、けっこういろんなことに応用できます。漢字でも九九でも、なかなか覚えられないのは、自分が一度に覚えられる量、こなせる量を上回っていることが考えられます。初めから10個いっぺんに憶えられないなら、3つ覚えたら、次の3つ・・・・というように、自分に合った量に分けるとうまくいくかもしれませんよ。私もピアノの練習をするときは、1曲をいくつかのパートに分けて、ここまでできるようになったら、次の部分・・・・というふうにやっています。
と、こんなふうに「リコーダーの改造」「お手本を示してもらう」「2小節ずつ練習」という作戦で「うみ」を練習したら、何と帰るまでには1曲通して吹けるようになってしまいました! 来た時は「リコーダー、やだな・・・・」と言っていた彼でしたが、コツをつかんだらノッてきて、知らず知らずのうちに熱中し始めたのです。その表情の変化を、言葉でお伝えできないのが残念。
ただ、今後おうちで練習を継続するモチベーションとして、練習した回数分だけ○を書いていくカードを作ったのですが、これはあまり効果を発揮しなかったようです・・・・。
ここでも、やはりフォローアップのシステムが必要と感じました。次回以降、同様の企画をやるときには、そのあたり改善したいと思います。
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