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知らず知らずにプロセスを経ている ~音声→単語→文→文章
音の組み合わせで、単語ができる。単語の組み合わせで、文ができる。文がたくさん集まって、文章ができる。
「り」と「ん」と「ご」で、「りんご」。
「りんご」と「たべた」をつなげて、「りんご、たべた」。
もっと言葉をどんどんつなげて、「ぼく は おおきな りんご を たべた」。
文をいっぱいいっぱいつなげて、日記になったり、説明文になったり、小説になったり。
ここでちょっと、テニスに置き換えてみます。(いきなりかい!)
何を隠そう(というか、基本的に隠してきたけど)、私、中学の頃テニス部だったんです。
入部したての1年生。まずは、球拾い。その傍ら、学校の周りを走らされ、腕立て伏せだの腹筋だのと体力づくり。それから、ラケットの持ち方、基本的なフォームの素振りを教わりました。どれも面白みのないものだったけど、テニスができるようになるには欠かせない過程だったんですね。(あのときに、「なぜ必要なのか」を教えてもらっていたら、あんなに苦痛に感じなかっただろうに・・・・)
言語機能で言うと、このあたりが前回のお話の部分に当たるかもしれません。言葉を聞き分け、発音する---言語を理解し表出する、土台の部分。
で、球を打つ練習。まずは壁打ちや、先輩が出してくれる球をポーンと打ち返すことから。フォアハンド、バックハンドにボレーなど、基本的な動作を身につけます。やがて上達して、試合に出るようになっても、こうした練習は常に継続されるものですよね。
この部分は、言語に置き換えると、「単語」を獲得していくことと似ているような気がします。初語の「ママ」や「マンマ」から始まって、「パワハラ」やら「テロ対策特別措置法」やらと、新たな単語と出会い意味を理解し使えるようになっていく、というのは半永久的にに続きます。
この時点でも、つまずく子はいるはずです。テニスの素質のある子は、フォアもバックもボレーも楽々打ち返せるのみならず、練習を重ねるごとに、ラケットを自由自在に操って自分の思う微妙な角度や強さで球を打てるようになります。でも、センスのない私は、球を追いかけ、振り回されるので精一杯。
言葉のセンスのある子は、たくさんの言葉の意味を理解し、的確に使い分けられるようになっていきます。「そのとき、僕は言った」の「言った」が「ささやいた」「どなった」「命じた」「答えた」「言い返した」「語った」「つぶやいた」「述べた」・・・・などなど、似た意味でありながら微妙にニュアンスの単語を巧みに操って。
でも、言葉を正しく理解し、言語のネットワークを構築する機能に苦手さを抱える子は、日常生活の会話で頻繁に使うような簡単な言葉ならわかっても、学校で次々と習う新しい言葉に消化不良をおこしていたり、抽象的な言葉や難しい言葉のやり取りについていけなかったりしているかもしれません。あるいは、意味がよくわからないまま使っている言葉がたくさんあったり、言いたいこと、書きたいことを表現するのにふさわしい言葉を見つけられず、つまずいているかもしれません。
さて、テニス。さまざまな球を打ち返すことができるようになったとしても、それだけではダメ。ルールを理解しそれに則ってプレーできて初めて、ゲームになります。
一方、言葉も、文法やさまざまなルールに則って文にしなければ、相手に伝わらなくなってしまいますね。
そしてテニスのゲームは、球を打つ技術はもちろんのこと、ルールも相手の動きや心理に戦術や戦況、その他もろもろに気を配りながら総合的に能力をフル稼働させています。それはウィンブルドンで活躍する世界的な選手から、趣味や健康維持の一環で楽しむ人々まで、レベルは様々。(根本的にボールやラケットを使うスポーツには「全く向いていない」と悟った私は、高校で陸上競技に転向。)
長い文章を書いたり、話したりすることも、言語機能のみならず、注意機能も記憶機能もフル稼働です。言葉の世界も、書くことや話すことを職業とする人たちがいる一方で、あまりそれを得意としない人たちも、います。まぁ、日常的に困らない程度であればそれでいいわけですが。
でも、テニスと違うのは、学校での学習には言葉での理解や表現は避けて通れないこと・・・・だからやっぱり、支援の手立てを考えなければいけませんね。
テニスに喩える必然性など、全くなかったのですが・・・・
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次回は、言語機能に弱さを抱える子への支援をまとめて考えてみたいと思います。
※参考文献 "The Mind That’s Mine" Dr.Mel Levine
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