アテンション・プリ~ズ!⑤~最終回は、え?そんなこと?|アンダンテ西荻教育研究所・アンダンテプリモ

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アテンション・プリ~ズ!⑤~最終回は、え?そんなこと?

「注意」機能編、とりあえずいったん最終回です。

これまでの話は↓↓↓こちらから

アテンション・プリ~ズ!①

アテンション・プリ~ズ!②

アテンション・プリ~ズ!③

アテンション・プリ~ズ!④

私は普段、個別学習指導をやっているので、例えば前回話題に出てきたAくんやBさんに対して「1コマの授業を15分ずつ区切って課題に飽きさせないようにする」「10問やって答え合わせとするところを、2,3問ずつ細切れに答えあわせタイムを作る」とか、「最初に5分間の<おしゃべりタイム>を確保して、頭の中をスッキリさせてから勉強に取り掛からせる」などなど、相手を見てあの手この手で対応しているわけですが

「そんなこと一人一人の子どもにやれるわけないでしょー」

というのが、学校の先生の大方のご意見、・・・・ごもっともです。

巡回相談に行っても、

「こちとら40人相手にやってますんで」的なバリアを張られていたりすると

まずは、それを解除してもらうためにどう話を進めていくかが、なかなか難しいなぁと思う日々です。

で、ここまで4回にわたって、本当は一番求められているであろう「具体的な方法」には敢えて一切触れず、「注意機能がうまく働かないとはどういうことか」を理解してもらうための話にくどくどと時間を割いてきたのは、なぜかといいますと

「具体的な方法」に正解はないからです。大切なのは、

その子が「なぜ、できないのか」「何に困っているのか」を知ること。

そこを手がかりに頭を柔軟に働かせれば、日々の授業や学習活動の中でどんな支援ができるかは個々に違うし、可能性は無限にあるかもしれない。

だから、ここでご紹介するのも、ホンのちょっとした一例に過ぎません。

が、たとえば、ある学校のある教室に入って、黒板にこんなことが書かれているのを見ると、「あ、なるほどー」と私は一人うなってしまったりします。

教科書p.14 ③・④ をやる

   ↓

先生に見せる

   ↓

教科書p.15 ⑤・⑥ をやる

   ↓

先生に見せる

   ↓

プリントをやる

   ↓

できた人 読書

黒板には他に何も書かれていません。ただ、これだけ。

注意機能に問題を抱える子や発達障害の子を意識して書かれていたのか、確かめたわけではないので、わかりません。

その先生の日常的な授業のスタイルなのかもしれませんし、たまたま、その日のその時間そういうやり方をしていただけなのかもしれません。

でも私は、その前に別の教室で「せんせ~、どこやるんですか~」と手をあげて「だーかーらー、今言ったでしょ!」と一喝されていたた子や、他の子たちがせっせこ課題に取り組んでいるときにボケ~ッとしていた子を見た後だったので、あぁ、あの子たちもこの指示が黒板に書いてあったら、怒られたり取り残されたりしないかもしれないなぁ、と思ったわけです。

「40人もいるのだから、一人ひとりへの配慮なんかできない」というよりも、むしろ

「40人もいるのだから、配慮が必要」なのですね。

だって、40人を前に先生が指示を出したとき、果たして全員がそれを聞き漏らさず、しっかり理解できるものかどうか・・・・?

注意機能に弱さを抱える子は、先生の話に意識のチャンネルを合わせられていないかもしれません。話を聞いているように見えて、実は頭の中は他のことで大忙しかもしれません。

発達障害の子に限らず、誰だって注意機能が低下している場合は有り得ます。たとえば、寝不足だったり、体調が悪かったり、暑かったり・・・・。何か心配事を抱えているとか逆に何かすごく楽しみなことを控えている子たちも、注意を先生の話に集中させることは困難なはず。

それでハッと我に帰る。「えっと、いま何するんだっけ?」

こっそり隣の子に聞いたり、周りの様子から判断できる子もいる一方で、とっさに「どこやるんですか~」とタイミング悪く手をあげてしまう子もいて・・・・(^ ^;)

そんなとき、今何をすべきか、さっき先生は何を指示したのか、黒板を見れば一目で分かるようになっていたら・・・・そういう何気ないことが

「どこやるんですか~」「今言ったでしょっ!」という不毛なやり取りを避けられ、誰かに聞くこともできずボーっとしている子にも手がかりを与えられているんだなぁ、

しかも、一斉指示→一斉に答え合わせ、ではなく、個々のペースで取り組める上に、全員のチェックができる・・・合理的だなぁ、

と感心させられたのでした。

ということで、注意機能まだまだ書くべきことはたくさんあるのですが、ひとまずポイントをまとめておきましょう。

刺激を減らすなどして気の散りにくい環境を作る。(教室環境に限らず、必要なものだけ出させるとか、使い終わったものを出しっぱなしにしないとか、ちょっとしたことも含めてなんですけど)

注意を向けることや注意を持続することの苦手さを前提とした配慮をする。(上記の例もそうですが、「はい、今から大事なコト言うよ」と注目させるとか、飽きさせないメリハリの聞いた授業の組み立てとか、要するに当たり前のことなんですけど)

過去記事にも宝の山がいっぱい(・・・・かも?)

先生が明日からできること。には収録できなかったP先生の実践(ココから6回にわたって連載)なども、きっと参考になると思いますので、よろしければ読み返してみてくださいね。

学習支援、「注意」機能に続いて、次のテーマは「記憶」です。これまた難題です。。。

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※参考文献 "The Mind That’s Mine"  Dr.Mel Levine

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