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万人に合う方法などありえない~個々の学びを支えるために②
前回の記事から続いています。
「どうせ私は・・・・」と、自分にため息をついてしまうか、「私だって、ちょっとがんばればもっと素敵になれるんだ」と自信や意欲がわいてくるか。この違いが意味するものは、メイクや学習に限らず、何でも同じなのではないでしょうか。
デパートやスーパーなどの化粧品売り場で販売員のお姉さんが「ちょっと試してご覧になりますか?」とメイクをしてくれるのは、『商品を売る』のが最大の目的です。彼女たちはメイクのプロではなく、化粧品販売のプロです。
だから、「このアイシャドウはこんな色合いですよ」というのを顧客に見せるために、メイクをしてくれるわけです。(そのため、どうしても濃い目になりがちです。)たまたまそれがすごく似合う人なら幸運ですが、自分に似合うメイクなどよくわかっていない私。たいがいは鏡を覗きこんで、自分が藤原紀香や伊藤美咲ではないことを思い知ると同時に、「私が化粧をしたところで、藤原紀香になれるわけではない」という諦めを胸に刻みつつ、それでも、「ノーメイクというわけにはいかないから仕方無しに」化粧品を買ってきたと言ってもいいぐらいです。
極端な話、「この秋の新色」が、必ずしも私に似合うとは限りません。流行の眉毛の形が、全ての人に似合うわけではないし、美白ブームと言ったって、もともと肌の色の濃い人が顔だけ白くなったらおかしいでしょう。
先日のメイクモデル体験は、その点が大きく違いました。
商品のためのメイクではなく、「その人」のためのメイクだったのです。一人ひとりの顔や肌の特徴をつかみ、その人の長所を生かし弱点をカバーする、メイクとは本来そういうものであることに気づかされました。
そのスクールの受講生のみなさんは素人で、講座の前半に基礎的なメイク技術についてのレクチャーを受け、後半にモデルをつかってのメイク実習という構成でした。実習中、モデル役の私はじっとされるがままになっていなければいけません。講師の先生がまわってきては、受講生に指導や助言をします。
「この方の肌は乾燥しやすいから、コンシーラーを使うのはやめたほうがいいわ」
「この方の眉、ちょっと左右の間があいているでしょう? だから、気持~ち内側から描き足してみてください」
・・・・などなど、私の顔の話ですから、受講生はもちろんのこと、私にもすごく参考になります。
そして、「はい、ちょっとみなさん手を止めて、こちらにきてくださーい」と講師の先生が声をかけ、受講生全員が私を取り囲む形で集まってきました。みなさんに注目されるなか、講師の先生が私の目を指差して「この方ね、目は大きいのに、まつげが短くて少ないから、何か締まらないんです。そこで、ここのところに、こんなふうにラインを引いてあげてください・・・・ほら、どうですか?」 ・・・受講生たちから、小さく感嘆の声があがります。 どうやら、細~く引いたアイライン一本で、私の目力(メヂカラ)アップの効果が出たようです。
「でもね、こちらの方・・・」そう言って、講師の先生は別のモデルさんの目を指しました。「こういう目にはラインは描きません」・・・受講生たちは、うなずきながらノートを取っています。
これがプロなんだなぁ、と思いました。
ひとつの化粧品が、万人に似合ったり必要だったりするわけではなく、一人ひとりに合うもの必要なものを効果的に用いることがが大事なわけです。この講師の先生がそれをできるのは、豊富な専門知識と優れた技術を持っていることに加えて、膨大な数の「顔」と向き合って経験を積んできたことで、「この顔には、こうするのがいい!」と瞬時に判断する職人の「勘」があるからに間違いありません。
「これがいい」と思い込んだ商品や方法を過信したり、裏づけもなくやみくもに試行錯誤するのは、素人のやり方。どんな職業であれ、それではプロとは呼べません。
では、教育のプロはどうでしょう?
一時期、大ブームとなった「百ます計算」。私のところには「百ます計算ができない・・・・」と困っていた子どもたちが何人もいました。そりゃそうです。注意集中が困難なADHDっ子、あの図を見て何をしなければいけないかがわからなかった自閉っ子、視覚的な認知に困難があって縦横のマス目をたどるのに苦労していたLDっ子・・・・私が教えている子は、そんな子たちですから。 「百ます計算」が悪だとは言いませんが、全ての子どもに合うわけがない、とは断言します。
「流行りの眉毛」にしてみたものの、似合わず落ち込む女性がいるように、「流行のメソッド」や「ひとつの教え方」が合わずに、「どうせ、ぼくは」「どうせ、私は」と思い込んでしまっている子どもたちが、実は少なからずいるのではないでしょうか。
学習面の支援のお話、次回以降もまだまだ続きます。・・・・というか、そろそろ本題に入りましょうね。
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