親が冷たいからではない。~たとえば、自閉っ子の場合①~|アンダンテ西荻教育研究所・アンダンテプリモ

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親が冷たいからではない。~たとえば、自閉っ子の場合①~

前々回前回から続いています。

うちの甥っ子姪っ子のママ、つまり私の義妹は、非常におおらかな子育てをしています。ちょっとやそっとの悪戯やきょうだいゲンカはギリギリまで見守りますし、ワガママやいけないことをやめさせる時は、子どもに分かる言葉で言い聞かせて諭すタイプ。とは言っても、ここぞというときは「こら! だめでしょっ!」「いいかげんにしなさい!」と一喝。見習いたいものだと思います。

しかし。

義妹がおおらかなママをやれるのは、義妹の人徳によるものだけではないように、私には見えるのです。

たとえば、作品「カニ」をゴミと勘違いして切られてしまった甥っ子(2さい)、確かにビエーンと泣きましたが、私が謝ってセロテープでくっつけて、「はい、直ったよ」と返したら、泣き止んでにっこり笑って受け取ったんですよ!!!!

ええ~! それでいいの?! そんなに簡単に納得するのか、あんたは!!

もしもこれが、自閉っ子やアスペっ子だったら・・・・

想定外の出来事に非常に弱い彼らのことです。この世の終わりのように泣き叫ぶかもしれません。手当たりしだい物を投げて暴れるかもしれません。自分の頭をゴンゴンたたいたり、壁に頭をぶつけてのパニックになるかもしれません。あるいは口の達者なアスペっ子だったら、「死ね」だの「殺してやる」だの、知っている限りの暴言を吐いて怒りと悲しみを表現するかもしれません。

しかも、「大事なカニを壊された」という分かりやすい理由ならまだしも、往々にして彼らの興味関心やこだわりは独特だったりするので、これがまた大変。買い物に行く道がいつもと違うとか、部屋のゴミ箱の位置が変わったとか、いつもズボンをはいている○○先生が今日はスカートだとか、「なんでそんなことで・・・・」ということが、彼らには受け入れられなかったりします。さらには、好きな番組が最終回(終わってしまう)とか、お気に入りのお菓子のパッケージの柄が変わったとか、そんなことも一大事で、もう親には不可抗力の事態。

彼らは、気持ちのスイッチを切り替えるのも不得手です。何十分も何時間も、子どもによっては何日も何ヶ月も、こだわり続けるかもしれません。

親が子どもの発達障害についてまだ気づいていない段階では、うまくいかない子育てに悩んだり、子どもの言動に神経質になるのも当然のこと。自閉っ子やアスペっ子も、丁寧に教えていけば少しずつパニックを回避したり気持ちを切り替えたりする術(すべ)を身につけていくことができます。けれども、それはすごく根気の要ること。

親御さんが「いいかげんにしなさい!」と切れてしまうことや「もうかんべんしてよ」とうんざりすることも、しばしばありましょう。また、不要なパニックの要因を作らないように、先回りして安全策を整えてしまうことも多いでしょう。逆に、泣こうがわめこうが諦めて乗り越えさせるべきときもあります。そんなときは、どんなに子どもがパニクっていてもひたすら「無視」するしかありません。日々そんなことの繰り返しです。

結果として、何も知らない人が傍から見れば、親がヒステリックだとか、過保護・過干渉だとか、冷たいとか、そんな風に映ってしまうこともあるでしょう。先生やカウンセラーに「愛情が足りないと言われた」とおっしゃる親御さんは、残念ながら今もいらっしゃいます。

義妹のおおらかな子育ては、甥っ子が「直ったよ」の一言で、はい、にっこり・・・てな調子でバカ素直に反応するからできることなんじゃないか? 大晦日に私が感じたのはそのことです。一般的には「おおらかな子育てをするから子どもが素直なんだ」と映りがちですが、そこが「鶏が先か卵が先か」わからないところであり、相互作用のなせる業でもあるのかもしれない・・・・と。そのあたりの話、まだまだ続けてみます。

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