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気がかりな子の座席についての考察

今日は、LD、ADHD、自閉症スペクトラムなどの子の座席の配慮について、ちょっと考えて見たいと思います。

私たちが子どものころ、そんな用語も知られていない時代には、先生にとって「困った子」の座席といえば、一番前の真ん中(先生の真正面)が定番だったように思います。先生の目が届きやすいというメリットは大きいのですが、そのことでずいぶん傷ついたという子も中にはいます。良くも悪くも、気がかりな子の座席の位置の影響は大きいですので、気を遣いたいところですね。

でも、「こういう子には、この席がいい」という絶対的な対処方法があるわけではありません。ケース・バイ・ケースですし、その子の年齢やまわりのお友達との関係など、いろんな要素が絡んできます。

私は立場上、教室の後方から授業を参観するのが普通です。先生から見る角度とは逆、つまり、子どもたちと同じ側から見ていて、気になることを何点か挙げてみますので、座席を考えるときに参考にしていただけると嬉しいです。

【一番前の席】・・・先生から近いので、フォローが必要なときにさりげなく声をかけたりしやすいというメリットがあります。自分に注目されたくて、やみくもに発言したがったり、何かにつけて「せんせーい!」と呼ばれたりして、授業を中断させられるのを事前に防ぐよう、こまめに先生が働きかけられる位置といえます。子どもにとっても、先生と黒板以外の視野に入る刺激が少ないので、集中しやすいかもしれません。他の子の行動をモデルとして活動する子には、一番前より二番目の方がいいかなぁという気もします。 一方、「いつも先生に見られている」というプレッシャーや不安を感じさせたり、「自分はできないからいつも一番前なんだ」と自己評価を下げてしまったりする恐れもあります。また、どうしてもふらふら立ち歩いたり、すぐ後ろを向いておしゃべりしたりしてしまうタイプの子を前方の席にすると、その子の言動が他の子どもたちへの刺激になって、「あの子は悪い子」というレッテルを貼られる、「あの子がやっているから僕も」と連鎖反応を呼ぶなど、クラス作りを難しくするリスクも念頭においた方が良さそうです。

【一番後ろの席】・・・加配の先生をつける場合などは、後ろの席の方が周りの子に影響が少なくてよいでしょう。また、多動で離席や立ち歩きがある程度やむをえない子は、教室後方を「どうしても座っていられなくなった時の、ふらふらゾーン」としておくと、授業の妨げにもなりにくいです。(前でふらふらされると他の子が気が散るので、いちいち注意せざるをえなくなります) ですが、一番後ろは自分のスペースの実質的な仕切りがないので、姿勢の悪さ、椅子をぐらぐら・・・、など、よけいな問題を引き起こす可能性も高いです。

【窓際・廊下側】・・・ADHDなどのお子さんは、様々な刺激が気になってしまいますし、自閉症のお子さんも先生の「話」より、「目を引くもの」の方に反応してしまいます。窓の外の景色や水槽の亀やザリガニに気をとられているとしたら、よそ見を叱る前に、そんな席に座らせた先生にも責任を感じてください。 ですが、アスペルガー症候群の子などから、「端っこじゃないとイヤ」「壁際か窓側じゃないと落ち着かない」とも聞いたことがあります。四方を他の人に囲まれているのは落ち着かず、不安になるというのです。私も飛行機や新幹線の席で好んで真ん中の席を選ぶ人は少ないことを考えると、わかる気もしますね。

【隣の席の子】・・・けっこうカギを握っていますよね。先生以上に口うるさく注意する小姑タイプも、なんでもやってあげてしまうおせっかいタイプも、気がかりな子自身の気持ちと成長を考えると困り者です。でも、やはり低学年でもいるんですよね、よき理解者が。見守りつつ、よけいな口出しはせず、でもピンチのときは絶妙なタイミングでさりげなくフォローしてあげている「良き隣人」を発見すると、教室の背後で感激している私です。

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