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オープンスクールの緒川小学校を見学しての印象
前回の続きです。
目の前にある光景をどうとらえるかは、とても主観的なものですから
その人その人の価値観や経験によって違ってくるとは思いますが
みなさんなら、この光景をどう受け止めるでしょうか?
たとえば、こんな風に、授業中子どもたちが隣や前後の席どうしで思い思いにしゃべっている光景。
おしゃべりしている子たちが多いクラス、と映るでしょうか?
でも、耳を澄ますと、その話題はどれも、今やっている算数の問題についての話なんだと気付くのです。
例えば別の学級。
子どもたちは思い思いの場所で、算数のプリントの問題を解いています。
よく見ると、取り組んでいる算数プリントは、一人ひとり違う。
みなバラバラの課題を、ばらばらの場所でやっているわけですが
でも、驚くほどシーンと静まり返っていて、どの子も熱心に目の前の学習に向かっています。
こっちの子たちは、もっとバラバラ。
それぞれにまだ終えられていない自分のやるべきことに取り組んでいるから、
ある子は図工の作品の仕上げ、ある子は家庭科の裁縫の続きをやってていたり。
もちろん場所もバラバラで先生は一人だから、先生の死角にいる子たちもいるのだけど
見る限り、すべきこともせず遊んでいる子やおしゃべりに興じている子はいません。
(全て終わっていた子は図書のスペースで本を読んだりくつろいだりしていましたが)
一方で、こんなごく普通の一斉授業の学級もちゃんと見られます。
授業の様子を見ていて総じて感じるのは、ここでは大声を張り上げる先生がほとんどいないこと。
もともと中学校の先生だった冨田校長は、「規律」とのバランスを重要と考えているといいます。
なんだか、NYで見てきた学校の光景と似ているなぁと思います。
冨田校長も同じことをおっしゃっていました。「昨日の研修で見せてもらったNYの学校の写真のような学習の様子は、うちでは普段の光景として見られますよ」と。
たぶん、この学校では、自然にこういう学びの光景が生まれるのでしょう。
それは、「オープンスクールだったらこうなる」というような、単純で甘い話じゃないのですね。
30年余りにわたって「子どもを主体とする学習」をめざし、引き継がれ、蓄積されてきたからこそなのでしょう。
それは、緒川小学校の教育方針や研究報告を読むと、よくわかります。
オープンスペースがうまくいかない学校と緒川小学校では何が違うのかと尋ねたところ、
校長先生のお答えはやはり「教員の意識」とのこと。
校舎だけ真似っこして、意識も中身も変えようと(変わろうと)せずに、うまくいくわけがないんですね。
めざす子どもの姿と、そのためにどのような学びを提供するかが明確であるからこそ、教師はどのような授業をし、どのように子どもたちと関わり、そして校舎はどのような形態であるべきかが導き出されるのでしょう。
緒川小出身の生徒は勝手に発言するとか集団行動になじまないというような声も、卒業後(中学校で)多少は聞かれるらしいですが、思うにそういう評価は、旧来の一斉指導偏重でやってきている先生から見て「やりやすくない」ということなのかもしれません。全員が席について、教室が静かであるということイコール、学習が成立しているとは限らない。そう私は考えています。わからないまま放置されている子や、ぼーっとしてただそこに“居る”だけの子は、いないでしょうか?
子どもたち一人ひとりが主体的に学習することを重視している緒川小学校や、NYで見てきた学校での光景というのは、一斉指導のシーンは少ないけれど、「どの子も自分の学習に従事している」状態に限りなく近いのではないか・・・私の目にはそう映りました。
+++++++++++++++++++++
十分な準備もせず、押しかけ見学でしたので、個人的な感想しか書けませんが、
この学校なら、UDLの理念もすっと入るような気がしました。
機会があればぜひ再訪したいと思います。
急な訪問を快く迎えてくださった冨田校長先生はじめ緒川小学校の先生方、みなさん、ありがとうございました。
また、そんなわがままにお付き合いいただき、送迎に加えデジカメまで貸してくださった教育出版の木村さんにもお世話になりました。
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今日は仕事納めです。今年は年が明けてからの年賀状作成になるかも・・・。
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