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一斉指導でUDLは有り得るか? ~P先生へのお返事に代えて
地元でお世話になっているP先生から、先日のUDL(学びのユニバーサルデザイン)講座の感想をメールでいただいていたのですが
出張やなんやかんやで、すっかり放ったらかしてしまっていました。
文中にこんな質問があって、
UD(ユニバーサルデザイン)があらかじめ多様性に応える環境をつくることを指すのならば、
一斉指導の中で工夫をすることはUDと言っていいのでしょうか。
「UDL」と「UDLの視点を生かした授業」は違うということですかね。
というのは、UDLを取り入れているワークショップスタイルの向こうの実践をもっと知りたいなと思ったからなのですが。
出張の行き帰りの新幹線のなかで、ちょっと考えをめぐらせていました。
講座の間、P先生がいちばん後ろの席で小難しい顔して首をひねっていたのが気になっていたのですが、ふ~ん、そこにひっかかってましたか・・・(笑)
UDLは“指針”なので、「UDLの視点を生かした授業」という言い方をしましたが、私自身は、そこに深い意図はなくて、
たぶん、P先生の疑問は、「そもそも一斉指導そのものが、UDではないのでは?」ってことなのかなと思っています。私も、ニューヨークで見た小学校はどこもワークショップスタイルの授業が主流で、チョーク&トーク型の授業をしている先生はいなかった、という話をしましたし。
ただ、おそらくUDLにおいて、「方法AはUDである、方法BはUDではない」・・・・という表現は、たぶん適当ではないんです。なぜかというと、UDLは「多様性に応えるために、多様な方法を提供する」というのが基本軸で、本文中しつこいほど「全ての人に最適な一つの方法はあり得ない」と強調されています。だからこそ、多様な方法でのアプローチが必要で、かつ、どれについても何らかの理由でアクセスできない学習者のために「オプション」や「代替策」を用意しておかなければならない、ということなんですね。
どのような授業スタイルであれ、教授方法であれ、教材教具であれ、それぞれにメリットがありますが、一方で誰かしらにとって意図せぬバリアを含んでしまっている。その解消方法もまた、一つではないのだと思うのです。
UDLは「こうすべき」と規定する類のものではなく、多様な具体例を紹介して、それらを組み合わせせたり、工夫したりする際のの参考にすることが期待されています。
だから、
一斉指導のスタイルにおいて、多様な提示、多様な活動、多様な動機づけを効果的に組み込むという方法も、
一斉指導にグループ学習や個別指導など多様な形態の活動を効果的に組み合わせて、それぞれのデメリットを補うという方法も、
どちらもあり得るだろうし、いろいろな試みがあって良いのではないかと私は考えています。(様々な試み、実践の積み重ねの先に、より良いものはこっち、という結論が出る可能性もあるでしょうけど)
だって、グループ学習にも、個別指導にも、それぞれにデメリットや適さない課題もあれば、適さない学習者もいるわけですし。今回の講座では写真などをご紹介できなかったですが、ワークショップ形式だと、課題や形態を組み合わせやすいという利点はありますね。でも、もしかしたら日本には日本のUDLの具体化の方法があるのかもしれません。要は、どの子も活動に参加でき、どの子も内容を理解できる時間を提供しているかどうかですものね。
・・・・と、私は思うのですが、どうでしょう。自分で実践する立場にないので、あくまで「かもしれない」とか「思う」とかしか言えないのが心苦しいですが。
逆に、何か一つの方法をもって「これぞUDな授業」とか「これこそがUDな学び」と主張するのは、UDLの理念からは外れます。教師や指導者が「誰もがわかる」を追求するのは当然のことですが、全ての学習者に対応できるパーフェクトなものは有り得ない。だから多様なオプションを用意すべし、ということなんですね。そしてあくまでも「UDLは比較級」。
(ちょっと書いていて、「絶対にミスや事故は起こり得ない」ものをめざすのではなく、「ミスや事故は起きる」という前提で、あらゆる想定での対策を施すことに似ている気がしてきました)
ともあれ、P先生のように、悩みやギモンを持ちながら、幅広く勉強し、それらをあらゆる角度から実践に取り入れていく姿勢そのものが、UDL的な取り組みといえるのかな、・・・・な~んて、最後にヨイショしておきます(笑)
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急な暑さに、一気に食欲減退。で、今年初冷やし中華、いきました。
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