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表現についての補足とお詫び
前記事について、コメントをいただきました。
はじめまして。
>そして、先生の指示は通らなくなり、最終的には、崩壊するでしょう。「学級まるごとADHD」と表現したのは、そういうことです。
「学級まるごとADHD」というのは、非常にインパクトのある言葉ですね。
ADHDの子供たちやその親御さんたちが、これを見たら、どう思うでしょう。
私もそういった親の一人ですが、私は不快でしたし、誤解を与えかねない不適切な表現だと思いました。
ご指摘、ありがとうございます。正直なところ、このコメントをいただいてホッとしています。
なぜなら、私自身がこの表現に対して、嫌だなという気持ちがあって、不愉快に思う人もいるだろうな、誤解を招かないといいんだけどな、・・・という不安が重しとなって胃の中に入っているような気分でいたからです。(今現在もですが)
うっかり発した「失言」であれば、即刻削除もしくは訂正をするところなのですが、実は、悩んだ末に、このままいこうと決めてアップした記事です。もともと言葉にはかなりこだわるタチで、ブログを書くときも常に、読み返し、修正したうえでアップするので、2~3時間かかります。(だからツイッターみたいなのは、性に合わないと思う)
コメントを寄せてくださった3maruさんをはじめ、不快な思いをされた方はいらっしゃると思います。それについては申し訳なく、この場を借りてお詫びします。
一方、ご指摘をいただいたことを機に、少し補足させてください。
言葉というのは、どんな言葉であれ、常に“諸刃の剣”だと私は考えています。それは、ポジティブな言葉であっても、ネガティブな言葉であっても、です。
そして、インパクトの強い言葉であればあるほど、そのリスクが高いのも事実です。
「学級まるごとADHD」という表現、自分で書いておきながら、ちょっと嫌な感触を覚えていました。でも同時に、それでもあえて使った意図として、そういう「どきっ」「ぐさっ」っとくる言葉のもつ“効力”もふまえた計算高さが含まれているのは否めません。もっと良い表現はないかなと色々考えたのですが、インパクト、ニュアンス、その他諸々を総合的に考えて、私のボキャブラリーからは「もっと良い」言葉は出てきませんでした。
ただし、使うべきでない言葉は、避けなければいけません。その点はグレーゾーンで、判断は個人によって異なります。また、言葉そのものの問題ではなく、言葉に込められた「意図」や「使い方」の問題だと思うので、悩みどころです。
その表現が“不適切”かどうかを検証する際、私は次のことについて確認します。
-
差別や偏見、蔑視につながるものか
-
誤解に基づいた記述であるか
1に関しては、前記事の文章に差別や蔑視の意図がないことは、全体を読んでいただければわかると思います。むしろ、ADHDは、正しい理解と適切な支援があれば、じゅうぶん適応できるという意味で、個人でも学級でも同様に(「注意」という力をうまく発揮できずにいる状態かも・・・・という視点で)で見ることができるのではないか?という意図を込めました。
たしかに、当事者や関係者(私も含めて)の中にはカチンとくる人もいるかもしれないし、不快な表現かもしれない。でも、もちろん差別や偏見を助長するつもりはないことはご理解いただきたいですし、もしどこかで引用される場合は、趣旨が飛躍することのないよう願います。
2の「誤解」という点ついては、どうでしょう。一つの問題提起ですので、議論の余地はあるかもしれません。(もしかすると、先生方のほうから反発があるかも、とも思っていました。読みようによっては、「教師の指導力の問題にしている」と受け取れるかと懸念していたので。)
ただ、ここで問題にしたいのは、「言葉が一人歩きする危険性」です。時に言葉は、―とくに便利な言い回しや、口当たりのいい曖昧表現、人目を引く突飛な言葉などは―、前後の文脈から切り離され、本来の意味や発信者の趣旨とは違った意図をもって、都合良く使いまわされてしまうことがあります。それが得てして“誤解を招く”ことになります。「学級まるごとADHD」・・・大いにその危険性があると感じました。なので、本文中でその意味する状態を具体的に書いて、定義付けをしたつもりです。
でも、言葉足らずだったかもしれません。
言いたかったのは、
「注意」という機能の弱さに配慮した支援や、「注意」の力を育てるような指導によって、ADHDの“二次症状”は回避できる、そのことは学級全体にも言えるのではないか。
これに尽きます。
以上の点で、いい表現ではないけれど「不適切」とも言えない、と私なりに判断しました。
しいて言えば「ADHD的」とか「ADHD状態」とか、曖昧語を付加してやわらげるという手もあるので、タイトルと本文修正してみましたが、あんまり大差はないですね。すみません。
***
余談ですが、これを書くにあたって、先月お会いしたニューヨークのイエーリン先生の話を思い出しました。取材の話とは関係なかったのですが、「最後に、一つだけ聞きたいことがある」と質問させてもらいました。
イエーリンセンターでは、基本的に診断名=レッテルをつけず、LDやADHDは「学び方の違いLearning Differences」と捉えて、その子の得意不得意のプロフィールを分析し伝えるという方針をとっています。私自身もその考え方に共感するのだけれど、でも、どうしても「診断名」を必要とする場合やそれを使って説明した方が良いと思われる場合が、しばしばあります。イエーリン先生はそういうケースはないですか? とお聞きしました。
その質問に対して、イエーリン先生は少し考えて、こう答えてくれました。
「たしかに、たとえば薬の処方が必要な時など、便宜上、診断をつけてそれを伝えなければいけない場合がある。そういう時は、夜も眠れなくなるほど悩みますが」
一つの言葉に対して感じる重みや意味合いは、一人ひとり違います。だからこそ、使っていい表現・悪い表現と一概に決めつけることは難しい。ただ、ずっと「書く」ということを続けてきた人間としてはやはり、ネガティブな反応を恐れて書けなくなることは、あってはならないと思っています。試行錯誤しながら、言葉と向き合う作業を続けていくつもりです。
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