もう一つの『苦手攻略大作戦』|アンダンテ西荻教育研究所・アンダンテプリモ

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もう一つの『苦手攻略大作戦』

「あのさ、ほら、船とかから、カチカチ光、やるやつ、あれ、ほら・・・・」

と、Bくんが何かを言わんとしているのだけど、要領を得ません。

「灯台?」

「ちがう、じゃなくて、あれだよ、ほら・・・」

「ごめん。わからない・・・」

するとBくんは、「先生、紙かして」と言って、絵を描きながら

「こうやって、光で、“バカ”とか送るんだよ」

「あー、わかった! モールス信号だ」

(私は知らなかったのですが、「ポニョ」にそういうシーンがあるらしいです)

モールス信号はさておき、そんな出来事があった昨日、私はあることに気付いてちょっと感激していたのでした。

言葉でうまく説明できないBくん、思うように伝わらないと決まって、「もう、いい!」と諦めてしまう子でした。

その彼が、自分から紙に絵を描いて伝えようとしたことが、すごく私には嬉しかったのです。

実は、遡ること3カ月、昨年秋に私は、Bくんの「自分説明書」というものを作りました。

内容は、言ってみればBくん専用の『苦手攻略大作戦』。

作り始めたら、ついつい凝りすぎてしまって、我ながら自信作♪

「これはね、先生がBくんのために心をこめて作った、世界にたった1冊しかない本だよ」

と、ちょっと大げさに、いかにもありがたいもののように、恭しくそれを手渡し、一緒に読んであげると、Bくんは食い入るように見ていました。

今年に入って、Bくんの学習に取り組む態度がずいぶん変わってきたと、感じていました。以前はアンダンテにも半ば嫌々通っていて、80分の授業時間を最後までいることができず、いつも逃げるように帰って行ったのに、最近は時間いっぱいまで頑張って、「さようならー!」とあいさつして帰ります・・・(!) 

読んだ本やテレビで知ったことをよく話してくれるし、問題がわからなくてもカッとならずに、もう一度説明を聞けるようにもなりました。

気のせいかな~と、思ってはいたのですが、昨日のことで確信しました。

たぶん、きっと、Bくんは、3か月前に渡した「作戦」を心のどこかで意識してくれているのだ、と。

そうだよね。

「うまく話せなくて、あせったときは・・・・→ ・紙に書いたり手紙にする。 ・実物や写真、絵を見せながら話す」

って、きみの作戦の中に、ちゃんと入ってるもんね。

読んであげた時、Bくんが「ふつうなんだ」とつぶやいたのを、忘れません。ずっと、みんなにできることが自分にできなくて自信がなく、「どうせぼくはバカだ」と自暴自棄な気持ちを、抱え続けていたのかもしれません。

でも、苦手なこともあるけれど大丈夫なんだと、そう感じてくれただけでも、作ったかいがありました。

春休みにアンダンテで、「ぼく・わたしの苦手攻略大作戦を作ろう」という企画を考えています。

えぇ、もちろん、本はるえ先生とドクターMの苦手攻略大作戦―発達障害のある子にもない子にも役に立つを売るためです!(笑) 

*<はるえ先生とドクターMの苦手攻略大作戦>(教育出版) 書店にて好評発売中♪*

でも、それだけでなくて、参加してくれた子どもたちに、「ぼくも・わたしも、大丈夫なんだ」という自信と、自分で自分のために作った「作戦」を持って帰ってもらいたいと思います。

(企画の詳細は、後日アンダンテのウェブサイトでお知らせします。)

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テレビの線を抜いたら、ずいぶん時間に余裕ができました。でも、オリンピックが始まったので、また線を挿しました。

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