黒板をノートに必死で写しているが故に理解できなくなる子もいます。|アンダンテ西荻教育研究所・アンダンテプリモ

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黒板をノートに必死で写しているが故に理解できなくなる子もいます。

春、ある子が血相を変えて私のところに数学の教科書とノートを持ってきました。

「好きだった数学が、全然わからなくなった! 授業に全くついていけない」というのです。

詳しく聞いてみると、今年数学の担当になった先生は、とにかく黒板に書く、書く、書く・・・・。その子は、それをノートに写すのに必死で、肝心な話を聞く余裕がなく、授業の内容がさっぱり理解できないまま終わってしまうのだというのです。

あぁ、それ、私も覚えがあるなぁ。

高校時代の代数の先生、いつも優しくて素敵な先生で、なが~い証明問題の解をひたすら黒板いっぱいに書いていって、「以上証明終わり」で、にっこり笑って振り返り「どうだ、なぁ、すごいだろう?」と言ったものですが、私には何がすごいのやらさっぱりわからないままでした。

そんなわけで、私がその子にしたアドバイスは

「あのさぁ。君はノート、とらなくていいと思う」。

そう言われた本人の驚いた顔!

そりゃぁ、これまで「授業中は板書をノートに写すのが常識」と言われ続けてきたのですから。

「ノートを取らなくていいと教えるとは、けしからん」とおっしゃる先生もいるかもしれません。

でも彼はもともと文字の読み書きに弱さを抱えている子なので、「板書を写す」という作業はかなり負担がかかります。その間、書くことで脳がいっぱいいっぱいの状態になり、先生の話を聞いたり、学んでいる内容を理解する余裕が全くなくなってしまうのです。

だから、その子には、「ノートに書いてくるのは、日付とタイトルと、教科書のどのページの問題をやっているかというメモだけでいい。あとは、先生の話をしっかり聞いて、理解することに集中しなさい」と話しました。これで、かなり余裕を取り戻せたようです。

「書く」というプロセスは、学習においてとても大事なものですが、ただひたすら写させるだけでは、子どもに無用な負担を与えるわりには、あまり意味がない・・・ということにもなりかねません。

いつ、何を、何のために、「書く」という作業を組み込むかは、授業のユニバーサルデザインのカギの一つではないでしょうか。

具体的には、またあらためてお話していきたいと思います。

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