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とにもかくにもモチベーション
学習支援シリーズ運動機能編、今日こそ最後にしたいと思います。
さて、字を書くことにしろ、リコーダーにしろ、逆上がりにしろ、苦手な子は人よりもたくさん練習しなければできるようにならない、でも、その間にネガティブな体験を重ねて「どうせ自分はできない」と自己肯定感が下がってしまったり、やる気をなくしてしまったりすると、ますますできるようにならない・・・・という話を繰り返ししてきました。
そうならないように、本人が自信を失わないように、スモールステップで少しずつ「できた!」を積み重ねられるように、そして「もう少しがんばってみよう!」という前向きな気持ちをはぐくめるようにすることの大切さは分かっていても
いろいろな子どもたちがいる学級の中で、どんな配慮やどんな工夫ができるかというと、それはなかなか難しいことですよね。「こうすればいい!」という正解があるわけではないのですが、あくまで「考え方」の参考として、書いてみようと思います。
私、実は4年ほど前からピアノを習っています。ヤ●ハの音楽教室の、大人のためのコース。グループレッスンなので、いろいろな生徒がいます。子どもの頃からずっとピアノを続けてきたバリバリの経験者から、楽譜の読み方から始める入門者まで。私のグループは、比較的「経験のある」人たちで構成されているのですが、そのレベルはかなりばらつきがあります。ある人は、たいがいの曲は初見で弾けてしまうぐらいの腕ですが、私はといえば、子どもの頃に7年間ピアノを習った経験はあるものの、今はひとつの曲を弾けるようになるには、相当弾きこまないとダメです。
で、初めの頃は、かなりめげたんです。あの人は、楽譜を渡されてすぐスラスラ弾けるのに、私はまず右手だけ練習、次に左手だけ練習、それから両手を合わせて弾けるように練習して音を取れるようになったらようやく強弱やニュアンスを考える余裕が出てくる・・・・と、時間をかけて、スモールステップで、何度も練習しないと、仕上がらないのですが、実際には仕事もあるから毎日練習できるわけでもないし、悲しいことに四十肩(!)の症状が出てきて、一回の練習もあまり長くできなくなってしまいました。(1時間も弾いたら腕が上がらなくなる!)
でも、一時はすごくめげたものの、「やめよう」と思わずに続けてこられたのは、やっぱり先生や仲間の温かい言葉や態度のおかげが大きいのです。
もし、ぜんぜん練習できずに臨んだレッスンの日に、がっかりした顔をされていたら。そんなことじゃダメだ、と否定的なことばを少しでもかけられたら。あるいは、グループの誰かに「あの人、下手ね」とイラついたり馬鹿にした態度をとられていたら。
たぶん私は、速攻嫌になって、やめていたと思います。
でも、先生はいつも、ささいな長所や、ほんのわずかな上達でも、誉めてくれました。自分のできるペースでがんばればいいと励まし続けてくれました。だから、グループのみんなも、安心して自分のペースで楽しみながら頑張っているので、他人と優劣を争ったり、追いついてこられない子にイラついたりすることはありません。
先生の教え方も、長い付き合いの中でだんだんと、一人ひとりに柔軟に合わせてくるようになって来ました。たとえば、私の場合、まず「楽譜どおりの音を正確に弾く」ことができるようになるまでにかなり時間がかかることを考慮して、その段階に達するまでは細かなことは何も言いません。(その間はいっぱいいっぱいなので、「そこはなめらかに」とか「強弱をはっきりと」とか言われても、無理なんですぅ)
また、「好きな曲、弾きたい曲を弾くのがいちばん」と、個人練習曲はある人はクラシック、ある人はジャズ、またある人はJポップと様々です。たしかに、「あの曲弾いてみたい!」という気持ちが何よりモチベーションになります。
でも、「個人練習曲だけではグループレッスンの意味がない。テキストの曲をみんなでやる時間も大切にしたい」というのが、私の先生の方針。
レベルがバラバラの4人が、同じテキストの同じ課題曲に取り組むわけですが、「みんなで楽しむ」ために、さまざまな参加の形を用意してくれています。とにかく右手でメロディラインを弾く人、左手でコードバッキングをしたい人、メロディのフェイク(変奏)に挑戦したい人・・・・もちろん、どれも一通りはやってみるわけですが、その上で「私はこれをできるようにする」と各自の目標を持って、みんなで一つの曲を完成させる、と言えばいいのでしょうか。
この考え方は、ニューヨークで受けてきたワークショップのジグソーパズル的発想に似ているかもしれません。個々の学びを一つひとつのピースと見立て、それらを持ち寄り組み合わせて「みんなの学び」にするというものです。(ニューヨーク報告も、あらためて詳しく書きます)
ずいぶん長い記事になってしまいました。
うまくなりたい!という気持ちを引き出すこと・・・・運動機能に弱さを抱える子どもにいちばん大切な支援かもしれません。そのヒントになれば幸いです。
あぁ、まとまったのかまとまっていないのか、よくわからないまま「運動機能編」はこれにて完結としたいと思います。いやあ、長かった。
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※参考文献 「<できる>子どもの育て方」、"The Mind That’s Mine" Dr.Mel Levine
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