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覚える・覚えている・思い出す・自動化する①~プロローグ
お待たせしました。今回から「記憶」の話に入りましょう。
うすうす感じてはいたのですが、私、「注意」機能(についてのまとめ読みは→こちら)のみならず、「記憶」機能もイマイチのようです。
最近、職場の同僚たちにちょっとした記憶力テストをやってもらって、ちょっぴりショック・・・・え、みんな、そんなにできるんだ!
年齢のせいもあるかもしれません。
トランプの神経衰弱ゲームをしても、子どもたちに勝てない。俳優の名前をなかなか思い出せず、しょっちゅう「え~と、あの人、ほら、あの・・・」と言っている。昔覚えたはずの英単語もかなり忘れてるし、何より悲しいのが手紙を書いていて漢字が浮かばないとき。誰かとおしゃべりしていて、「あれ? この話、前にもしたっけ?」というのも、しばしばだし。
日常生活に支障が出るほどの衰えではないけれど、脳トレがブームになるのも、すごくわかる心境。肌の衰え身体の衰え同様、脳の衰えだって不安をあおられれば「なんとかしなきゃ」の気分になるものですねぇ。
でも、ここではひとまず脳トレの話はさておいて、これから何回かにかけて
- ひとくちに「記憶力」と言うけれど、「記憶」には色々な種類があること
- 「記憶」機能に弱さを抱えている子どもたちが学習でどんなふうに困っていて、どんな支援ができるか
について考えていきたいと思います。
なにしろ、学校での学習は「記憶」の働きを求められる課題がとっても多いです。
いま私が、漢字の一つや二つ、英単語の三つや四つ忘れたところで、ちょっと辞書をめくればすむことですし、あのドラマの主役をやっていた俳優の名前が思い出せないのは悔しいけれど、それまでのこと。
でも、学齢期の子どもたちが、どうしても漢字や英単語を覚えられなかったり、江戸幕府を開いた人物の名前を何度覚えても思い出せなかったりすると、非常に困ることは間違いありません。
その理由のひとつは、学齢期の学びは「覚えたこと」を使って次の理解に進むものが多くあって(たとえば、九九を覚えなければ割り算も掛け算の筆算にもつまずいてしまいます)、すでに習ったことは「覚えたもの」という前提で学校の授業は進んでいくことが多いから。
もうひとつの理由は、学習の達成度を評価をする「テスト」が、「記憶」の力による部分の比重が高いから。
学習に困難がある子どもたちの学習指導をしていると、「覚えている」ことと「理解している」ことは違うんだなぁと実感します。 「覚えている」けど「理解できていない」子どももいれば、「理解している」けれど「覚えられない」子どももいるのです。でも、テストって、「覚えている子」が高得点を取れるスタイルのものが圧倒的に多いですものね・・・・。
だから、「記憶」機能にトラブルを抱える子どもにとって、学校の学習に苦労するのは必然です。でも、記憶力がいい人はアタマがいい人、という印象がありますが、「記憶」は様々な脳機能のうちのひとつに過ぎません。ですから、聞いたり話したりは得意で、話もちゃんと理解できている子が、漢字テストでいつも低得点だと、「やればできるはずなのに努力してない」「怠けている」ように誤解されたり、逆に「高学年になってもまだ九九が覚えきれないような子が、通常級でやっていけるのか?」という話になったりもします。
そこで、まず最初にお勉強したいのが、「記憶」の種類について。
記憶の種類は「覚えている時間の長さ」と「覚えるものの種類」のふたつの視点から分けられます。
「覚えている時間の長さ」で考えると、短期記憶・作業記憶・長期記憶の3つの種類の記憶があります。次回は、そこからお話を続けたいと思います。
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※参考文献 "The Mind That’s Mine" Dr.Mel Levine
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