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「音楽の時間に耳をふさぐのをやめさせたい」というのを、やめさせたい。(3)

前々回前回から続いています。

私たち人間の聴覚は、とっても都合よくというか、うまいことできていて、例えば居酒屋みたいなザワザワした中でも、話している相手の声をちゃんと選択して聞き取り、関係のない他人の会話やガチャガチャいう食器の音などは耳に入っていない・・・・というか、聞こえていても意識には入っていませんよね。

こういう人間の聴覚の機能は、「カクテルパーティ効果」と言われています。

自閉っ子たちと付き合っていると、このカクテルパーティ効果が、うまく働いていないように見える時があります。名前を連呼されても振り返らなかったり、先生の説明よりも遠くの踏み切りの音に強く関心を示していたり・・・・。

で、前出のヘッドセットの話にもどりましょう。

マイクは人の声もBGMも同レベルで拾い、そしてこのイヤフォンはそれらの全部(しかも雑音まで含めて)を、耳穴の入り口から注ぎ込む。だから、聞きたい音と無視したい音の選択の余地はなく、非常に不快に感じたのだと思います。

ところが今どきの携帯電話は、聴覚のカクテルパーティ効果に近い機能を応用し、駅などの雑踏の中で話しても通話している人の声だけを聞き取りやすくしているものもあるそうですし、受話器と耳との間に多少の距離がありますから、人間の耳も受話器から聞こえる音のうち、人の声を選択して聞いているのかもしれません。あるいは、「BGMにかかっている音楽、聞こえる?」と言われたら、その曲に耳を澄ますこともできます。

これは本当に想像に過ぎませんが、ひょっとすると、うるさいのが苦手で音楽の時間に耳をふさいでしまう自閉っ子は、あのヘッドセットに近い耳をしているのかなぁ・・・?なんて、思ったりしました。先生のピアノ+子どもたちの(決して美しいハーモニーとはいえない)歌声に絶えられない。ましてや、鍵盤ハーモニカやリコーダーの一斉練習で、みんながピーコガーコそれぞれに音を鳴らしている、あの騒音は、私たち以上に苦痛に感じるのではないでしょうか?

そう考えてみると、「耳をふさぐのをやめさせる」という指導が、百害あって一利なしということは、納得いただけると思います。信頼関係も壊すし、問題行動も引き出すでしょう。だって、恐ろしい苦痛を味あわせる人を好きになれますか? 怒鳴ったり暴れたりするのは、その子が、耳をふさいだり「うるさい」と“言葉で”訴えるという第一段階での防衛手段が通じないと思ってしまっているからかもしれません。

具体的に、どうしたらいいのですか? というのは、その子の状態と条件のなかで、先生方にいろいろ工夫していただくしかありません。ヤ●ハの音楽教室などのグループレッスンでは、個別に練習する時はヘッドフォン使いますが、学校ではそんな予算がないといわれるでしょうね。。。ピアノやスピーカーから離れた席を選んであげるとか、30人40人の子どもが一斉に歌ったり楽器を鳴らしたりする機会を減らし数人ずつ音を出すようにするとかなら、とりあえず手をつけられるのではないでしょうか?

それから、聴覚過敏はいろいろなタイプがあることも、先生方はぜひ覚えておいてください。「うるさい音」「大きい音」に限らず、特定の音や声が苦手な子もいます。あと、「突然」なる音もパニックになりやすいですね。できるかぎり予告してあげたり、安心させるために音の正体を教えて(可能なら見せて)あげてください。

気づけばランキングトップ10圏外に落ちていました。やる気も下がり気味・・・・?

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