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一見「親のせい」に見えてしまうことは多いけど・・・

前回の続きです。

学校の先生方とお話していると、発達障害の子や、支援の必要な子について、こんな言葉をしばしば聞きます。

「お母さんも、ちょっと厳しい感じみたいで、細かいところまできちんとさせるというか・・・・」

「家庭での親とのかかわりなんかも、多少影響しているのかなぁなんて・・・・」

「もうちょっと親御さんもねぇ、ゆったり構えたらいいのにと思うんですけど・・・・」

あるいは、乱暴な言葉遣いは家庭の影響ではないのかとか、なんだか親が冷たい感じがするとか、親の愛情が足りないストレスや欲求不満から学校で荒れるんじゃないかとか、親が子どもの問題に対して認識がないとか・・・・・

「親のせい」とは、さすがに言わないまでも、発達障害の子どもの親御さんは、「何か問題がある」ように見えてしまう傾向があるようです。

それは、まったくの誤解、思い込みであることもありますし、もし実際に他のお子さんのお母さんよりも多少過干渉だったりや厳しいように見えたとしても、注意していただきたいのは、それが原因でその子が発達障害になるわけではないのです。

ある学校に、アスペルガー症候群のお子さんについて先生方とお話ししに行ったことがあります。彼の問題行動が障害の特性に起因するものであることを説明したところ、副校長先生が「資料を読み、こうしてお話をうかがった今でも、まだ私には親御さんの影響ではないかという風に思えます。だって、あのお母さん、すぐカリカリとヒステリックに怒ってしまうでしょう・・・・?」

私が、また振り出しか・・・・と脱力しかけた時、同席していた教育センターの臨床心理士の方が、絶妙な説明をしてくれました。

「たしかに○○君のお母さんは、子どもの扱いがそれほど上手なタイプではないかもしれません。でも、お母さんのそうした対応は、○○君自身の行動によって引き出されてしまっているとも言えるんです」

そういう見方が、発達障害への理解も、親御さんへの対応の幅も、広げるんだろうなぁ。

「鶏が先か、卵が先か」という議論に似ているような気がします。

人間関係は、一方的なものではなく双方向的な相互作用によって成り立ち、築かれていきます。親子関係は、その最たるものですから。

次回はもっと具体的なお話にしていきますね。

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