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私の失敗・・・早く出てきてクリームソーダ!!!
ある自閉っ子O君とファミレスに行きました。買い物練習の一環です。お店での買い物がとても上手になったので、こんどは飲食店に挑戦、というわけです。
席に案内されて、メニューを見て、ウェイトレスのお姉さんに注文をするところまではバッチリでした。
私とO君にとっての苦行は、このあと始まりました。
・・・・することが、ない。(これはヤバイ!)
クリームソーダ一つ出すのに、何分かかっとんねん! とチラチラ時計を見る私・・・・。
しばらくは、静かに姿勢よく座っていたO君でしたが、やがて、テーブルの上の透明の筒(料理が来たら伝票を丸めて挿しておくためのもの)をクルクル回したり、コロコロ転がしたりし始めました。
何よりも「待つ」ということが苦手な自閉っ子。その程度でこらえてくれるなら、ありがたいと思いつつ、隣の席の母子のやりとりがやたら気になってしまう私です。隣のお母さんはとてもとても優しい口調でしたが、4、5歳の女の子にお行儀よく食べること、嫌いな野菜も残さず食べることを、ひっきりなしに説いていました。女の子がドリンクバーのジュースをコップに注いでその場で口をつけた時には、「お友達が見たらなんて思うと思う? 恥ずかしいでしょ!」と厳しく注意もしていました。
そんな母子を尻目に、O君のクルクル、コロコロの動きはだんだんエスカレートしていきます。なんだか・・・・「あのお兄ちゃんみたいにお行儀悪いのは恥ずかしいのよ」と無言でいわれているような気がしてしまう私。何を言われたわけでもないのに。
不用意に理不尽にO君を叱れば、O君が混乱し大声を出し始める可能性が高いのを、私は重々知っています。一方で「なんで注意しないのかしら。甘やかしちゃって」と思われているのではないかという、例の妙なプレッシャーから、彼の手いたずらをやめさせたい気持ちもふつふつとお腹の底でくすぶっています。
そしてO君がついに、その透明の筒をメガホンのように口に当てたところで、私はそ~っと彼からそれを取り上げてしまいました。ああ、私の根性なし。
当然、クリームソーダが出てくるまでの「間(ま)」を埋める手段を失った彼は、また不安になります。「クリームソーダ、たのむ!」と、メニューを指差して私に言うOくん。「さっき、頼んだよね。もうすぐ来るから、待っていようね」とO君に言う私。(「もうすぐって、どれくらいやねん!」 イライラと心の中で自分につっこむ)
遅い・・・・!
とうとうO君、妙ちくりんな歌を歌いだしました。笑いながらひとりごとも言いはじめました。いつもなら楽しいけど、ここではちょっと・・・・。
今やってるドラマ「僕の歩く道」ご覧になっていますか? 草なぎ君演ずる自閉症青年が、することの分からない時間、待たされている時間、不安からひとりごと(自転車レースの歴代優勝者の名前)を言ってますよね。あれとまったく同じ状況です。
「O君、し~っ」 私は静かに、人差し指を口に当てて合図します。それに応じて、O君口を閉じます。(本当は、黙らせるのではなく、小さな声にさせたかったのですが・・・)
不安解消のよりどころである妙な歌とひとりごとも禁じられたO君が次にしたのは、・・・・・椅子に寝っころがること、でした。
いちおうプロの私ですが、O君の次なる「(私にとって)困った行動」を引き出してしまいました・・・・反省。これでもO君、かなり頑張って我慢していたんです。本当に。
学生時代は、自閉っ子を道路の真ん中で大パニックに陥らせたことなどもありましたが、一応それなりに経験を積んできましたので、この程度で慌てたりはしません。それでも、内心嫌な汗をかきながら、さりげなくO君に合図を送り、きちんと座らせたところで、
ようやく、クリームソーダ登場!!!
めちゃめちゃ長い時間のようにも感じましたが、普段ならそうでもないのかもしれません。親御さんたちの日頃の大変さを思わずにはいられませんでした。
そこで、です。
教室で、よけいなことをし始めてしまう自閉っ子やアスペちゃんたち。歌やひとりごととは限りません。ウロウロだったり、バタバタだったり、現れ方は色々ですが、とにかく。
先生方に気づいてほしいのは、「何をしたらいいのか分からない」「いつまで待てばいいのか見えない」 間(ま)を与えてしまっていないか?ということです。これ、彼らには本当に不安と苦痛を与えます。ひとりごとやウロウロを叱る前に、その行動の起こった状況を見直したいですね。
そして、本人の努力だけではカバーできない部分は、周囲の理解という支援が必要です。
ディズニーランドは、自閉症などの子どものために、並ばなくてもすぐにアトラクションに乗れるよう配慮するカードがあります。(無くなるという噂もあったけど、どうなったんだろう?) 周りの理解があれば、妙なプレッシャーも感じません。
ということで、このファミレスの店員とお客のみなさまも良き理解者に成長させるべく、次回からもしばらくO君との練習の場所にしようと思います。彼らが地域を育てていく・・・・私はいつもそう考えています。
彼らが学級や学校を育てていく存在でもあってほしいと願います。
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