焼き魚定食を食べて、「ソーシャルスキル」を考える~SST再考2~|アンダンテ西荻教育研究所・アンダンテプリモ

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焼き魚定食を食べて、「ソーシャルスキル」を考える~SST再考2~

サイズの合わなくなったスーツを直してもらうため、近所の「テーラー」に持って行きました。この道53年という職人のご夫妻。他界した祖母も同じ仕事をしていたと私が話したら、「じゃあ教わっておけばよかったのに」と言われました。きくと、最近は、苦手だったり時間のないお母さんが「手作り」を外注する時代なのだとか。手提げ袋やお弁当箱袋が「手作り」と指定される幼稚園もあるし、バザーに出す作品に見栄を張りたいお母さんもいる。なかには「体操着のゼッケンをつけてくれ」っていう依頼も引き受けたこともあるそうです。

へぇぇぇ、と驚きつつ、「もしかしたら私もその口かも・・・・」と、苦笑いしてしまいました。でも、テーラーご夫妻は、「みなさん、苦手なことはそれぞれですもの。英語が話せる人、難しい法律を知っている人・・・・。私らは、ミシンしかできないというだけのこと」

その日、新しく見つけた定食やで、焼き魚定食を頼んだ私。ご飯にお味噌汁、焼き魚とキャベツの千切り、ポテトサラダ、切干大根、お漬物。この、ごく普通の「晩御飯」に900円を払う自分は、ゼッケン付けをテーラーに頼むお母さんを、決して笑えません。一人暮らしの料理というのは、パスタやらチャーハンやら丼物やらと、かつての「外食っぽいもの」が多くなり、外で「手作り家庭の味」を食べるという、逆転現象が起きます。私が珍しいのではなく、この手の店は今どんどん増えていて、どこも「お一人様」で盛況。

考えてみれば、一昔前は一般的な家庭なら誰もが当たり前にやっていた「家のこと」を、プロにお金を払ってやってもらうサービスが、どんどん広がっています。お掃除サービスやメイドさんを利用する共働き家庭も以前より増えているようですし、最近うちに入ってた広告には「お洗濯サービス」まで登場。クリーニングじゃないですよ。1週間分の洗濯物を受け取り、洗濯機で洗い、乾燥機に入れ、そして、たたんで届けてくれるというサービス。・・・・実は、前回のニューヨーク出張のとき、コインランドリーでそういうサービスやっている人たち見かけたんですよ。日本もアメリカ化していく一方?

だとすれば、いずれ、「あれ」もくるのだろうか・・・・・。

3年前の米国出張中の夜、何気なくテレビをつけたときのこと。それは「Nanny 911(ナニー ナインワンワン)」という番組で、カリスマNanny(ばあや)が依頼人の母親に代わって子どもをしつけるというもの(911はアメリカの緊急通報の番号)。映っていたのは、叱っても怒鳴っても言うことを聞かず、部屋を散らかしまくり、家中を駆け回る兄妹に手を焼き、「もう、どうしたらいいのかわからない!」と頭を抱える母親。そこで、カリスマばあやに依頼。駆けつけたカリスマばあやは、たった一晩の子守で見事に兄妹たちを「いい子」にするわけですが、その間両親は、フランス料理店でワインなど傾けている、と。母親のインタビューで「親の役割は、子どもを愛すること。ばあやにしつけを頼めば、親はカリカリしないでいられるわ」みたいなことを、多分言っていたのだと思う(英語力と記憶力に自信がない)。。。。さ~て、次回登場するのははワンパク双子の兄弟。果たして、ばあやはいかにして彼らをしつけるのか・・・・お楽しみに! みたいな予告編が終わるまで、あんぐり口をあけて見入ってしまいました。

日本でも、「犬」のしつけをプロのドッグトレーナーに依頼する、似たような番組がありますが、そのうち人間バージョンも現れるかもしれません。

と、ここで自分の仕事を、はたと振り返るわけです。SST(ソーシャルスキルトレーニング)は、なぜ必要になったのだろう? 昔は、対人関係のルールやソーシャルスキルの類は、家庭や友達同士のかかわりの中で自然と身につけていたのに、なぜ通級学級に通わせたり、民間機関でお金を出して子どもを「トレーニング」させたいと思う親御さんがたくさんいるのでしょう? 

それは、焼き魚定食と同じく、「時代の変化」「社会の変化」という背景があるのかもしれません。

ミシンで手作り手提げ袋なんて作っている時間がない。

一人暮らしで定食並みの食事を作るのは時間的にも経済的にも効率が悪い。

核家族で縦の関係がわかりにくくなり、犬は番犬等の役目がなくなり「愛玩」動物として可愛がられるうち、自分が「主人」と勘違いしてしまうから、しつけが難しくなる。

ニーズの背景には必然があります。

私たちが提供しているSTTプログラムは、家庭に代わって子どもを教育しているのだろうか?と、一時、自分の仕事に疑問を感じたこともありました。でも、たぶんそういうことではない・・・・。もし仮に、そういう側面があるとしても、それだけのことでニーズが生まれるわけじゃない、という気がます。

発達障害の子は、もともとその特性から、様々なスキルを獲得する上での困難があります。その上、最近は兄弟の数も少ないし、学校が終わった後、友達同士で集団遊びをすることは非常に少なくなって久しい(それが私の卒論のテーマでした)。誰かと遊ぶ約束をしたところで、テレビ画面に向かってゲームをしているだけだったり。・・・・つまり、社会的なスキルを獲得する機会も不足しているのだと思います。

だから、わざわざ子ども同士が集まって、一緒に遊んだり話し合うなかで、友達とのかかわり方や、周りの人とうまくやっていくためのスキルを学ぶ場が求められるようになったのかもしれない

・・・・・・・なんて、あまり真に受けないでくださいね。焼き魚をつつきながら、とりとめもなく考えていただけの話です。かなり、こじつけ(笑)

次回の「SST再考」では、果たしてSSTで子どもは変わるのか?ということを、考えてみようかなと思います。
前回のお話「SST再考1」は→こちら

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